塩とゴマ油かけ芯からバリバリ

佐藤家の夕食は、野菜たっぷりのメニューがテーブルを埋め尽くす。3きょうだいが大好きな豚ばら肉のミルフィーユ鍋に、豆モヤシを使ったナムル、大根の煮物、地元で人気のあぶら揚げ(定義とうふ店)。ビタミンとタンパク質が多くとれる健康メニューだ。

康太郎はゴマ油を効かせたキャベツサラダが大好物
康太郎はゴマ油を効かせたキャベツサラダが大好物

意外にも、夜に炊くご飯の量は5人で3合と決して多くない。というのも、重量挙げは、階級別の体重制限がある競技。69キロ級の康太郎選手は「いつも大会前1週間で2~3キロ体重を落とすので、ご飯を減らして野菜を多めに食べて調整しました」と体重管理も完璧。自作の“必勝メニュー”はボールいっぱいのキャベツサラダ。「塩とゴマ油をかけたシンプルなメニューですが、これを芯からバリバリ食べるのが好きなんです」と笑う。

キャベツやキュウリなど歯ごたえのあるものが大好きな康太郎。ウリの煮物も大好物だ
キャベツやキュウリなど歯ごたえのあるものが大好きな康太郎。ウリの煮物も大好物だ

現在の体重は72キロ。競技の階級変更で東京五輪から73キロ級に改定されるため、大学では体重を「減らさない」ことが課題となってくる。「寮で食事を取る時間が遅くなるので、練習後に必ず補食をしたいと思っています」と対策もバッチリだ。

母明代さんは「息子ロス」

高2のとき、センバツ、総体、国体の3冠を達成。高3秋の福井国体ではスナッチ133キロ、クリーン&ジャーク163キロのトータル296キロで高校新記録を樹立した。

活躍の要因を和夫さんは「より良いフォームを目指す意識が高い。自分で考えて練習に取り組んでいるから、本番に強いのかもしれません」と話す。今までは監督と選手、父と息子。すぐ近くで助言を受けることができたが、これからは違う。明代さんも、息子の好物を作ってあげることはできない。「大学に入ってから、連絡を全くよこさなくなったので心配で…。自分でも驚くほど“息子ロス”に陥ってます」と寂しさものぞかせた。

明代さんは「長男が東京にいってしまってさびしくて…」と本音をもらす
明代さんは「長男が東京にいってしまってさびしくて…」と本音をもらす

6月にフィジーで行われる世界ジュニア選手権大会への出場が決まっている。73キロ級に階級変更して初の大会となるが、「まずは新しい環境に慣れて、大学で戦える力をつけたい」と足元から積み上げていく予定でいる。家族への感謝を口にするのは、もう少し結果を出してからになりそうだ。

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