<週中ベースボール:横浜金沢V・ルークスの挑戦(4)>
少年野球がチーム減、選手減に悩むなか、発足2年で選手5人から46人に急成長した横浜金沢V・ルークス。連載4回目は「子供たちの心のケア」がテーマです。
コンシェルジュによる目配りと気配り
横浜金沢V・ルークスには「コンシェルジュ」がいる。コンシェルジュとは、もともとホテルで宿泊客の細かい要望に応える応接係を指す。その「何でも屋さん」がなぜ、少年野球のチームに必要なのか。
チーム内に覇気のない子がいた。声もあまり出さず、監督やコーチからの言葉にもリアクションが乏しい。「この子、本当にやる気があるのかな」と思われた子供は、実は家に帰ると懸命に素振りを繰り返していた。しかも、毎日のようにノートをつけ、「どうすればうまく打てるようになるんだろう」ともがいていた。
それが分かったのは、横浜金沢V・ルークスのコンシェルジュ(現在はチーム代表の妻が担当)が、保護者や指導者たちとつくったグループLINEの恩恵だった。
コンシェルジュ 保護者のみなさんには、家庭での子供たちの様子や、本音を教えてもらえるように頼んでいます。グラウンドで見せる顔と家で見せる顔は違うことがありますから。
子供たちはそれぞれ性格が違う。また、子供なりに家の外での「社会」で気を使い、本音を隠していることもある。
表面的にはやる気の薄そうな子が、実はうまくなりたいと真剣に考えていることが分かり、コンシェルジュは監督、コーチに報告。指導者たちは子供たちの内面を理解した上で、有益なアドバイスを送るなど、その後の指導に生かしている。
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