暑さが厳しい日本の夏。それでも体を資本とする力士は食欲を失うわけにはいかない。スタミナ維持に向けて、相撲部屋の食事にはさまざまな工夫がなされている。部屋のちゃんこを紹介する「大相撲ちゃんこ企画」。今回は師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)を始め、青森出身の関取が多い伊勢ケ浜部屋をおじゃました。青森県の協力も仰ぎながらさまざまな料理が並んだ。その理由とは―。

テーブル埋め尽くす料理の数々

色とりどりの料理が置かれていく。次から次へと運ばれる大皿に終わりが見えない。テーブルは隙間なく埋め尽くされた。「うちはいつもこんな感じですよ」。伊勢ケ浜親方がさらりと言う。伊勢ケ浜部屋のちゃんこのこだわり。それは味と品数の豊富さにあった。

色とりどりの料理を囲み、笑顔を見せる左から照強、伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)、名古屋後援会の松原鉄夫会長、宝富士、誉富士=2019年6月28日
色とりどりの料理を囲み、笑顔を見せる左から照強、伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)、名古屋後援会の松原鉄夫会長、宝富士、誉富士=2019年6月28日

午前8時。稽古の始まりと同時に、ちゃんこ場に火が入った。この日は序二段の聡ノ富士が、青森から届いた豊富な食材をさばいていく。アユの甘露煮とイトウのカルパッチョ。ヒラメは昆布締めにし、カワハギをから揚げにする。煮物、揚げ物、刺し身と続いて、つきじ宮川本廛から送られた夏の風物詩ウナギは、卵にからめて「う巻き」に変身。フライヤーで揚げ出し豆腐をつくれば、揚げたての豚肉は酢豚に変えた。極め付きは、青森のホタテを用いた炊き込みご飯。これだけで8品目に上った。

アユの甘露煮
アユの甘露煮

イトウのカルパッチョ
イトウのカルパッチョ

ヒラメの昆布締め
ヒラメの昆布締め

次のページ豊富な品数で食欲刺激