タブレット、経口補水液、そして「秘密の塩」

旭川大高戦の開始は午後1時予定。暑さ対策はいくつも用意する。ホテルのクーラーは27~28度に設定し、おやすみタイマーをセット。「大前提はよく食べて、よく寝ること。温度を快適にして、たくさん睡眠をとります」。

試合中は石川大会から引き続き、塩分摂取のタブレットを毎イニング口にする。チーム用に加え、個人でも持ち込むという。経口補水液も絶えず飲み、ベンチでは控えの2人に首元を冷やしてもらう。水分は日本高野連から無制限にもらえるが、念には念を入れて今年はチームとしても経口補水液を十分に持ち込む。

甲子園練習でキャッチボールする星稜・奥川(右)(撮影・白石智彦)
甲子園練習でキャッチボールする星稜・奥川(右)(撮影・白石智彦)

そしてとっておきは、林和成監督(44)が甲子園のために保存してきた「秘密の塩」だ。昨年末の沖縄合宿の際、現地の知り合いを通じてひそかに入手。サラサラの粒子で口にしやすく味も抜群。そのままなめるのはもったいないほどの高級品といい、石川大会では“温存”。甲子園ではエースになめさせる計画だ。

小学生からコンビを組む山瀬慎之助捕手(3年)は「奥川は顔に表れる。小さな変化に気付いてあげたい」と気を配る。全力で大黒柱を支える態勢が整った。高校四天王と呼ばれる投手でこの夏唯一の聖地登場となる右腕は、体調万全なら怖いモノなし。塩効果で2度としょっぱい投球は繰り返さない。【柏原誠】

◆VTR 昨夏の2回戦済美戦に奥川は先発。6-1とリードしていたが4回に右ふくらはぎをつってこの回限りで降板。小刻みな継投に入ったが8回に一挙8失点で逆転された。9回に2点奪い9-9で延長戦へ。タイブレークの延長13回に2点を勝ち越したが、9回から好投していた同級生の寺沢孝多(当時2年)がその裏、無死満塁から史上初の逆転サヨナラ満塁アーチを浴びて敗戦した。

(2019年8月3日、ニッカンスポーツ・コム掲載)