質も量もたっぷり
部の献立を作成しているのは、同部の卒業生で栄養士の大内恵実さん(株式会社グランドスポーツ所属)。智弁和歌山高硬式野球部などの栄養指導に携わりつつ今年2月から母校のサポートに入った。
献立は「栄養フルコース型」と呼ばれる、肉、魚(豆腐)、野菜、乳製品、ごはん、汁物が基本。お茶わん約2杯分のごはんを食べ進めやすいように少し甘めの味付けにする、パートタイムの調理担当者に味付けや焼き具合などを統一させる、甘いものが自由に食べられない選手のために必ずフルーツを取り入れるといった気遣いがあちこちにちりばめられている。
食後もだんらん「チームは家族」
副将の中山桂さん(3年)は「メグ(大内)さんのごはんは、とにかくおいしいし、私たちのリクエストに応えてくれることも。まったく飽きません」とニッコリ。20年近くにわたりチームトレーナーを務め、大内さんを抜てきした山口幸子さんも「スタッフが満足しているだけでは意味がない。生徒たちが喜んで食べて、プレーにつながってくれることが一番」と全幅の信頼を寄せている。
午後8時ごろになると、食堂には隣の体育館で練習を終えた選手たちが次々に入ってくる。席は決まっておらず、レギュラーも控えも、上級生も下級生も一緒になって食事をとる。井上監督もその席に交じり、食後はテレビを見ながらみんなで談笑。練習中の張りつめた雰囲気は一切なく、まるで祖父と孫のだんらんを見ているような気分になった。
大内さんや山口さんもともに食事をとり、「体の調子、どう?」「いろんなおかずを少しずつ食べなさいよ」など、自然に選手たちとコミュニケーションをはかる。「チームは家族」という井上監督の方針が、食事風景からしっかりと感じ取れた。
桜花学園が毎年目指すのは、すべての全国大会で優勝すること。シーズン最初のインターハイでは、まずは素晴らしいスタートダッシュを切ることができた。秋の国体、冬のウインターカップと勝ち星を増やすためのカギを、平下主将は「全員がリングに向かう気持ちを出してプレーすること」と、力を込めた。
タピオカ体験ない
桜花学園では3食すべてが、部で提供されているが、日曜の晩ごはんだけは自由。自炊、外食、コンビニと、思い思いに食事を楽しんでいる。ナイジェリアからの留学生オコンクウォ・スーザン・アマカさん(2年)は郷土料理を自作。スパイシーなトマトシチューなどを、仲間たちも興味津々で試食するのだという。
「コンビニで買ってくる子も、ごはんものだけでなくサラダなど副菜も買っている。意識高くやっています」(大内さん)。加糖された飲み物はNGなので、人気のタピオカドリンクは残念ながら誰も飲んだことがないそうだ。【青木美帆】
◆桜花学園高等学校バスケットボール部 1955年創部。多数の卒業生を日本代表やWリーグに送り出し、現日本代表主将の高田真希(デンソー)、エースの渡嘉敷来夢(JX-ENEOS)もその一員。1903年、前身の桜花義会看病婦学校が開校。1999年、現在の校名に。所在地は愛知県名古屋市昭和区緑町1の7。
(2019年8月26日付日刊スポーツ紙面掲載)