高校野球秋季東北大会で準優勝した鶴岡東(山形)の選手たちは、朝、昼、夜の3食に加え、補食でパフォーマンスアップを図っています。地元庄内地区の豊かな食材と農園を営む野球部OBらのサポートで、今夏に続く甲子園出場へ向け日々成長しています。
午前10時に補食おにぎり
ある土曜日の1日練習、午前10時。朝からのハードなサーキットトレーニングに取り組んでいた選手たちを待っていたのは、大きなおにぎり。午前中の補食として1人1個。選手たちは、大喜びでおにぎりをほおばった。その名も「ファイトリマヨ」。「ファイト」と「鶏マヨ」をかけたネーミングに、選手たちのやる気もアップ。お昼までのもうひと踏ん張りを後押しした。
今夏出場した甲子園でも、選手たちの体の大きさは、全国の強豪校にもひけをとらなかった。3試合で4本塁打を含む27安打21得点とパワーを見せつけた。
佐藤俊監督(48)は「私が監督に就任した時(2001年)から試行錯誤を重ね、今の形に落ち着いたのはここ5年くらいでしょうか」と振り返る。そのきっかけは11年。佐藤監督就任後、初めて夏の甲子園に出場した時だった。
「他校に比べ、体がきゃしゃに見えた。パワーもスピードもない。あとは夏バテ防止。因果関係は分かりませんが、食事が細い選手ほど、体調を崩しやすいように感じた」。事前に防げるケガや病気は何とかしたい。補食を含め、選手の食事に力を入れ始めたのはそれからだ。現在は、朝のラーメンどんぶり大盛りご飯から、昼、夜の3食に加え、朝食後と昼食前の補食、厳しい練習が選手のパフォーマンスをアップさせている。
おいしく、楽しく、手際よく
そんな佐藤監督の取り組みを後押しするのは教え子たち。おにぎりと昼食のお弁当は、なんば農園を営むOB難波裕朋さん(34)一家が、下宿の朝食、夕食は的場裕典さん(37)が担当。そのほとんどが山形県庄内地区の地産のもの。毎日とれたての食材でお弁当や補食を届けている。「以前は、ただ食べろ、食べろでした。でも今はOBの協力もあっておいしく、楽しく、手際よく食べられるようになりました」と佐藤監督も感謝する。
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