目標体重を意識した食事作り

今月8日、保護者向けの栄養講習が、校内で行われた。講師を務めた橋本新ストレングス&コンディショニングコーチ(32)は、「正しい知識・情報を伝え、ラグビーに取り組む覚悟を持ってもらうことが8~9割です」と話す。FW若松泰佑(2年)の母、ひとみさんは、「目標体重を意識してお弁当や食事を作っています」。BK山下一吹(1年)の母、千華子さんは、野菜の切り方や彩りなどで変化をつけているそう。栄養は、とる量、質、タイミングが大事。摂取の目安は、1日3500~5500キロカロリー程度、タンパク質は体重1キロにつき2~2・5グラム、脂質は同10~15グラムなど、具体的な数字やイラスト、写真で示す。同コーチが携わるようになってから、体作りに対する選手の意識は、明らかに変わったという。それが前回の全国ラグビー大会出場、花園での初勝利になって実を結んだ。

栄養講習に参加した、左から紀伊さん、山下さん、若松さん
栄養講習に参加した、左から紀伊さん、山下さん、若松さん

ご飯、納豆、卵のおかわりが自由

全校生徒の実に7割(中高合算)が運動部に所属する早稲田実業。彼らの栄養面におけるサポートには、学生食堂も一役買っている。

緑黄色野菜の小鉢、フルーツ、ヨーグルトがセットになった「アスリートセット」
緑黄色野菜の小鉢、フルーツ、ヨーグルトがセットになった「アスリートセット」

同校食堂では2017年より、ご飯、納豆、卵のおかわりが自由に。今年度からは、緑黄色野菜の小鉢、フルーツ、ヨーグルトがセットになった「アスリートセット」もスタートした。管理栄養士をつとめる高場絵里さん(エームサービス株式会社所属)は、トップアスリートも利用するトレーニング施設の選手食堂に勤務し、日本代表クラスの海外遠征帯同経験を持つアスリート栄養のスペシャリスト。「ラグビー部以外にも、早実さんはいろんな部活が好成績を収めている。何かしら食事からのアプローチをしてあげられたら」と思いを語る。

管理栄養士の高場絵里さん
管理栄養士の高場絵里さん

高場さんは育ち盛りの子どもを持つ保護者に向けて、アドバイスを送る。

「主食、主菜、副菜、乳製品、果物というアスリート向けの食事を毎日準備するのは大変だと思います。まずは、通常の食事に何か1つだけでも加えようという意識を持ちましょう。たとえば今の季節だったら、毎食みかんを出すだけでもいい。全部を完璧にそろえようと思わず、何かプラスアルファできるところから始めようという意識が大事だと思います」。【青木美帆】

◆早稲田実業ラグビー部 1923年(大12)創部。OBの大谷寛ヘッドコーチ就任5年目の昨年、82季(79大会)ぶりの花園出場という快挙を果たした。早稲田大ラグビー蹴球部でも、HO森島大智(4年)、NO8丸尾崇真(3年)CTB中西亮太朗(2年)ら多数の卒業生が活躍中。学校所在地は東京都国分寺市本町1の2の1。

(2019年12月23日付、日刊スポーツ紙面掲載)