合宿中提供されたメニューの一例
昼食は丼、サラダと日替わりスープが基本。夕食は主菜、副菜2品、スープのほかに納豆、ヨーグルト、果物がついた(朝食は副菜1品減の形)。これにドリンクとしてオレンジジュース、水、お茶、コーヒーを用意した。
<昼食>
・牛丼、ブロッコリー、サラダ
・ガパオライス、春雨サラダ
・マーボー豆腐丼、わかめサラダ
・ミートソース、インゲンツナサラダ
<夕食>
・チキン南蛮、がんも煮、大根ツナサラダ、ニラ卵みそ汁
・キクラゲ玉子豚肉炒め、白身魚とキノコソテー、ジャコ豆腐サラダ
・豚生姜焼き、豆アジ南蛮漬け、キノコサラダ、揚げと大根みそ汁
・和風ハンバーグ、ナスオクラ素揚げ、レンコンきんぴら、棒々鶏、ワカメスープ
コロナ禍で提供方法は試行錯誤
コロナ禍での提供の仕方も試行錯誤した。最も難しかったのは「食事量が把握できないこと」だった。小林さんは滞在先の品川区のホテルに食事を運び、回収するだけで選手との接触はなし。食べる場にいないため、直接反応を感じとることができなかった。
おかずが足りなくならないよう、かつ残食が出ないよう準備していくが、昼食の丼の具材が足りなくなったことがあった。一方で、夕食の主食や主菜が残ったということもある。
初日は廊下にテーブルを出し、個別にパッケージした食事を並べ、選手たちが個々の部屋で食べるようなスタイルを整えたが、食事は栄養素の補給だけでなくリフレッシュの時間でもある。「選手たちから雰囲気が悪いと指摘され、翌日から夕食のみ、会議室を借りてみんなで食べるようにしました」(坂本幼樹日本ホッケー協会事務局長)。
翌日から大皿に料理を盛り、ビュッフェスタイルに変更。アルコール消毒、使い捨て手袋を使って、選手たちが自分に必要な量をとるようにした。細心の注意を払いながらも、結果として「同じ釜の飯」を食べることでチームの一体感がアップした。
ビーガン食も個別対応、細かい心配り
もう1つの難問は、ビーガンの選手がいたことだった。食材として肉や魚を使えないため、タンパク源を豆類、豆腐などで対応。また選手の健康状態を見て、個別にやわらかいごはんを提供するなどの対応にも応じた。「なかなかそんな細かい対応をしてくれるところはないので、対応いただいた選手も喜んでいました」(辰田准教授)と、小林さんの細やかな対応や心配りはチームにも大好評だった。
品川区がホッケーを応援競技として力を入れてきた経緯があるため、坂本事務局長はこの合宿期間中、「品川区の競技場で練習し、品川区のホテルに滞在し、品川区のごはんを3食食べる」ことにこだわった。感染症予防のため制限のある五輪となるが、五輪を通じてホッケーがより地域に根付くように活動は続けている。
小林さんは「それまでホッケーは身近な競技ではありませんでしたが、今回携わったことで応援したくなりました。食事を作りながら、アスリートがどういうものを食べたら良いのかを考えながら精一杯対応しました」と、さくらジャパンの奮闘に期待を寄せている。
無観客となった五輪本番では、会場で直接声援は送れないが、これまで関わってきた、サポートしてきた多くの人々が選手たちに熱いエールを送っている。期間中も食事から体調を整えて、ベストパフォーマンスを発揮することを願っている。
■さくらジャパンメンバー
▼ヘッドコーチ=アルナウ・クレウス・シャビエル
▼GK浅野祥代(34)
▼DF及川栞(32)、星希巳加(25)、狐塚美樹(25)、錦織えみ(28)、浅井悠由(25)、松本夏波(25)
▼MF真野由佳梨(27)、永井葉月(26)、瀬川真帆(25)、尾本桜子(23)
▼FW鳥山麻衣(26)、野村香奈(31)、永井友理(29)、山田明季(28)、森花音(25)
■五輪日程
7月24日~8月6日まで。24日~31日まで6チームずつグループA、Bに分かれて1回戦総当りのリーグ戦を行い、その後、その順位に基づいた順位決定戦を実施。 日本はグループBで、中国、ニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチン、スペインと対戦する。
■ホッケーとは
サッカーと同じく1チーム11人(ゴールキーパー1人とフィールドプレーヤー10人)で構成される。競技フィールドはバックライン60ヤード(55m)、サイドライン100ヤード(91.4m)の長方形で、サッカー場よりもひとまわり小さいサイズ。長さ1m弱のスティックを使い、ボールをパスやドリブルを繰り返して相手のゴールに入れ、得点を競う競技。15分の4クオーター制(計60分)。ボールのサイズや重さは硬式野球のボールとほぼ同じ。シュート時の最大時速は150~200kmにもなる。試合は1チーム16人で試合中、選手交代は自由に何回でも行える。
【アスレシピ編集部・飯田みさ代】