スポーツ関係者が誤解しやすいのは、優れたアスリートになるには、何か特別な食事法があるかのように思ってしまうことです。
世界のトップレベルのアスリートは、「カレーライスを食べたから」「菜食に徹したから」その地位を得たわけではなく、持って生まれた資質に加え、トレーニングの質と量、周囲の人とのよい関係、優れたコーチ、そして日々の体調管理、規則正しい日常生活などがあったからです。もちろん、食生活も大事な要素です。
それでは、よく耳にする「バランスのよい食事」とは何か。具体的な例を、数回に分けてお話しします。
私が「バランスのよい食事」を考える際にベースとしているのは「四群点数法」です。女子栄養大の創立者、香川綾先生が考案した食事法です。
毎日食べたい食品を4つのグループ(食品群)に分け、それぞれの食品群からそれぞれの分量をとる、というもの。とる量は男女、年齢、活動量などで違いますが、まずはスタンダードとして1日1600キロカロリーの食事の1例を示しています。
■第1群=日本人が不足しがちなカルシウムなどをとるための群
・牛乳・乳製品(牛乳コップ1杯とヨーグルト1容器)
・卵(鶏卵1個)
■第2群=筋肉や血液などを作る良質なタンパク質を含む食品
・肉、魚(各50g、合わせて2品)
・大豆製品(豆腐なら1/2丁)
■第3群=ビタミンやミネラル(カルシウムや鉄など)、食物繊維などをとる食品
・野菜(きのこ、海藻を含む)緑黄色。淡色野菜で350g
緑黄色野菜(ニンジン、ピーマンなど120g)
淡色野菜(キャベツ、タマネギなど280g)
芋(ジャガイモなら中1個)
・果物(ミカン1個くらい)
■第4群=力やエネルギー源となる食品(お菓子など嗜好食品や飲料もこの群に入れて、とる量を把握する
・穀物(ご飯2杯、食パン1枚、うどん1玉)
・油脂(植物油なら計量スプーン大1杯強)
・砂糖(とらなくてもよいが、とるならスプーン1杯程度)
上記はあくまでも、家事をするお母さん程度の食事量です。育ち盛りの子やアスリートには少なすぎますから、まずはお母さんが実践してみてください。量のコントロール方法については次回以降、説明します。
今回紹介するレシピは「五目牛皿」です。いつもの牛皿でも、食品の数を少し増やすことで、簡単に栄養素の量をアップさせて食べることができます。