「あまり食べてないのに、やせない」
「こんなに運動しているのに全然体重が変わらない」
「いつもより少し多く食べただけなのに、とても体重が増えてしまう」

このような悩みを口にする選手がいます。

日本人の食事摂取基準では、同じ体重、年齢、性別では同じ基礎代謝量として表示されています。スポーツ選手の推定エネルギー必要量を求める式(JISS式)は、28.5(kcal/除脂肪体重=LBM)×LBM(kg)×PAL(身体活動レベル)ですので、LBMが同じであれば、同じ値になります。

甲状腺ホルモンの分泌量で個人差

しかし、実際は個人差があるものです。なぜ、個人差が生じるのかというと、1人1人、基礎代謝に影響するホルモンの状態が異なるのが、理由の1つです。

エネルギー代謝に影響のあるホルモンは、甲状腺ホルモンです。甲状腺ホルモンは様々な作用を持っていますが、一言で言うと、「全身の代謝を高めるホルモン」です。

ホルモンが出すぎると、脈が速くなり、体温が上昇し、汗をかくようになります。反対にホルモンが不足すると、脈が遅くなり、体温は低下し、活気がなくなってしまいます。

体温産生にも関わっていて、酸素消費を増加させ、体内での熱の発生を促進する働きがあります。さらに心拍数や心臓の収縮を増加させ、血圧を上げる働きもあります。また、タンパク合成の促進、ブドウ糖の酸化(熱産生)の促進、脂肪の合成と分解の促進など、物質の代謝にも深く関わっています。

このように、甲状腺ホルモンの働きによって、エネルギー消費量に差が生じるのです。甲状腺ホルモンが出る量を調整しているのは、脳の視床下部。常にエネルギー摂取量が少なく、低エネルギー状態になっていると、甲状腺ホルモンを調整して基礎代謝を下げてしまい、少量しか食べていなくてもやせない体になってしまうのです。

今回は「飾り稲荷寿司」を紹介します。でんぶ、卵、ミニトマトやキュウリなどをのせると、見た目も色鮮やかで食欲がわくでしょう。小さめに作って、運動量に合わせてこまめにエネルギー補給をすることで、エネルギー不足にならないようにしましょう。

管理栄養士・田澤梓