「疲労回復や夏バテ予防には豚肉が良い!」と言われることがあり、意識的に食べている人もいるのではないでしょうか。

「豚肉が良い」と言われる理由は、豚肉に多く含まれるビタミンB群の働きの1つに、糖質がエネルギーを生み出すのを助けることがあるからだと思いますが、実際は豚肉=疲労回復とはなりません。

まずは休息、次に消化の良いもの

疲労とは「過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である」と定義されているように、エネルギーが足りていない状態ではなく、不快感や活動能力の減退状態をいいます。ということから、疲労を回復するには、まずは休息をとり、その次に体やエネルギーを作るための材料を偏りなく摂取することが大切です。

疲労を回復させたい時の食事は、消化吸収能力が落ちていることを考慮して、脂質が少なく、柔らかく、温かいものがおすすめです。

例えば、脂質が少なく、タンパク質も摂れる主菜は、魚介類や鶏のささみやむね肉を使い、煮たり、茹でたり、蒸したりする料理が良いでしょう。冷たいそばよりも温かいうどんが良いということです。

とは言っても、気温が高いと食欲が落ちますし、運動で高くなった体温を下げることも優先したい事項です。運動後は、冷たい飲料などで水分とエネルギー源になる糖質を補給し、体温を平熱にした後に、消化吸収を考慮した食事を摂るようにするとよいでしょう。

食事量は、運動強度や時間に合わせて、必要な糖質を確保しましょう。(参考:「秋のスタミナアップに向けての糖質補給、いつ何をどれだけ摂ったら良いのか」)

今回は、ご飯の進む味付けの「ホタテとマイタケの甘辛炒め」を紹介します。ホタテは脂質が少なくタンパク質が多い食品です。

参考文献
・Fujihira K, Takahashi M, Shimamura K, Hayashi N. Effects of different temperatures of carbohydrate-protein-containing drinks on gastric emptying rate after exercise in healthy young men: randomized crossover trial. J Physiol Anthropol. 2022;41(1):37. Published 2022 Oct 25. doi:10.1186/s40101-022-00311-2
・日本疲労学会 抗疲労臨床評価ガイドライン

管理栄養士・田澤梓