「だしを取ったことがない若者が増えている」という話を聞きます。また、年々日本での昆布生産量が減っているようです。

 1人暮らしだったり、子育てと仕事の両立で忙しいと、だしを取る時間がない方もいるかと思います。だしを取ったとしても、使った昆布をすぐに捨ててしまっていませんか? 皆さんはいかがでしょうか?

 だしに使った昆布は、まだ活用することができます。昆布の魅力を手軽にとれるように、佃煮にすることを提案します。今回は、ミネラル強化のためにヒジキを加えた「昆布とヒジキの佃煮」を紹介します。

だしに使った昆布を活用「昆布とヒジキの佃煮」
だしに使った昆布を活用「昆布とヒジキの佃煮」

 以前のコラム「モズクのヌルヌル食物繊維は夏の花粉症にも効果あり、ヒスタミンを抑制」において、モズクや昆布のネバネバに含まれる成分、フコイダンがアレルギー症状を軽減すると紹介しました。昆布には、そのほかにも魅力的な要素が詰まっています。

ミネラル、ビタミン、食物繊維が豊富
 昆布には、人間の体に必要なビタミン、ミネラルがほとんど含まれており、モズクよりもビタミン、ミネラルが多く含まれています。アスリートを目指す皆さんに積極的に摂ってほしいカルシウム、マグネシウム、鉄はモズクの約5倍以上。特に、カルシウムは牛乳の約7倍も多く含まれています。

消化吸収が良い
 昆布のミネラルの消化吸収は、他の食品に比べると高いと研究されています。

アルギン酸(食物繊維)で腸内お掃除
 フコイダンよりも約2~3倍多く含まれているアルギン酸は善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。

海を浄化し、魚を守る
 養殖魚の排泄物から溶け出した窒素やリンなどを海藻が吸収します。海藻には病原菌や赤潮を抑制する作用があり、養殖魚の飼育環境の水や周辺環境の汚染を軽減させることになります。

 海藻を消化吸収する酵素は、実は日本人だけが保有しているようです。日本人の健康を支え、日本の文化を培ってきた昆布。常備食として、家庭の食卓に取り入れてみませんか。

管理栄養士・乳井美和子、小高鏡子