保護者の方からいただいた質問です。「うちの子は体が細いので、何とか大きくしたいんです。監督、コーチからは何でもたくさん食べて大きくなれ! と言われており、カロリー(エネルギー)の高いものを優先的に食べています。シイタケを見てみると、ほとんどカロリーがありません。大きくなるのに食べる必要はあるのでしょうか?」
体格の小さい、細い小中学生のお子さんをお持ちの保護者の方は、子どもの成長をとても心配されています。そんな中、周囲の「たくさん食べて大きくなれ」というアドバイスは、時に間違った認識を生んでしまうことがあるようです。
カロリーの高いものをたくさん食べる
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体重が増える
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高カロリーのものなら何を食べても大きくなる
その結果、お菓子やファストフードを食べても大きくなると勘違いしている選手もいます。
余剰エネルギーは体脂肪に
消費エネルギー(生きることや運動など、人間が生活するために必要なエネルギー)よりも、摂取エネルギー(食事をすることで得られるエネルギー)が上回ると、余ったエネルギーは脂肪として身体に蓄積されます。しかし、筋肉や内臓、骨などが大きくなったわけではなく、ただ脂肪が増えただけ。つまり、アスリートとして必要な「身体が大きくなった」わけではありません。
食事のエネルギーを保つことはとても大切ですが、体のエネルギーを作るためには、糖質や脂質だけではなくビタミンB群が必要ですし、身体の恒常性を保つためには水分、ミネラルのバランスも必要です。見た目として大きくするのでなく、自分の身体をいたわりながら食事を考えることも大切です。
キノコ類も「成長」に必要
さて、シイタケをはじめとするキノコ類にはどんな栄養素が含まれているのでしょうか?
多いのは食物繊維です。特に不溶性食物繊維がたくさん入っています。不溶性食物繊維は保水性が高く、胃や腸で水分を吸収して大きく膨らみ、腸を刺激。蠕動(ぜんどう)運動を活発化させ、便通を促進します。発酵性もあり、大腸内で発酵・分解されるとビフィズス菌などが増えて腸内環境が良くなり、整腸作用もあります。
また、乾燥したキノコ類、干しシイタケ、キクラゲ等はカルシウムの吸収を促進するビタミンDを多く含んでいます。おなかに優しいだけではなく、骨を丈夫にするためにも大切なんですね。
カロリーは非常に少ないキノコ類ですが、決して成長期の身体に無駄なものではありません。逆に、エネルギーを制限するときは、手助けしてくれる食材でもあります。
今回はバターを使い、エネルギーも一緒に摂ることができる「シイタケのバターしょうゆソテー」を紹介します。焦がしバターじょうゆとシイタケの香りが食欲をそそります。炒めるだけ、5分でできる簡単レシピです。