気温、湿度ともに高くなり、間もなくじめじめとした梅雨を迎えます。

 この時期は食材や、調理した食べ物の衛生に気を付けなければなりません。うっかり食品を冷蔵庫に保存せずに腐らせたり、買ってきた食品がすぐに傷んだのを知らずに食べてしまい、下痢や嘔吐など食中毒症状を起こすこともあります。

細菌ついた手から生野菜に

 選手たちと調理実習をする機会もあるのですが、そこで必ず、気になることがあります。

 彼らは調理前や食事前にはしっかり手洗いをします。しかし、生の肉、魚、卵を触った後の手洗いをおろそかにしがちです。

 生の肉などには細菌がついていることが多く、それらを触った手で、そのまま食べるようなサラダの野菜などに触れてしまうと、食中毒の原因となることがあります。

 大切な試合があるのに、食中毒の症状で準備ができない、迎えられないというのは非常に残念なことです。予防には以下の3原則があります。小さなことですが、知っておくことで対策ができるので、ぜひ実践してください。

<食中毒予防の3原則>
つけない 指手や器具の消毒、汚染食材と非汚染食材をしっかり区別させる。
ふやさない 常温放置せず10度以下で保存、すぐに食べる。
やっつける しっかり加熱調理する(中心部75℃1分以上加熱が目安)。調理器具の洗浄、熱湯、塩素剤などの消毒。

 また、食中毒の種類により、感染型、毒素型、自然毒などがあり、菌の特性を知ることも予防する手立てとなります。今回は、使用頻度の高い卵に多く見られるサルモネラ菌を取り上げます。

<サルモネラ菌の特性>
感染源:十分に加熱していない卵・肉・魚
潜伏期間:12~48時間程度
症状:悪心、吐き気、水溶性の下痢、発熱、嘔吐が数日(3~4日程度)続き、自然に回復することが多い。

 腸内で増殖したサルモネラ菌が全て排出されるまでには、完治してから10日~2週間程度といわれていますが、体質や体調によっては1カ月以上、検出される人もいます。

 卵は非常に調理しやすい食材で、レパートリーも多い食品です。保存、消毒、指手衛生、加熱調理を徹底し、安全な食事をしましょう。卵を加熱調理し、手軽に食べられるボリュームたっぷりな「エビフライ丼」はおすすめです。

 また特にこの時期は、生卵での卵かけご飯を食べるのは注意が必要です。

管理栄養士・舘川美貴子