お正月に準備したお餅(もち)が余っていませんか? スポーツをする選手にとって、お餅はとても良い補食になります。

アミノペクチンの粘り気で腹持ち良い

餅はご飯と同じく、糖質を多く含むエネルギー源です。ご飯は「うるち米」、餅は「もち米」から作られており、でんぷんの成分はご飯がアミロースとアミロペクチンで、お餅はアミロペクチン100%です。このアミロペクチンは、水と一緒に加熱すると粘り気が出るという性質があります。餅のもちもち感は、アミロペクチンの粘り気によるものです。

アミロペクチンは消化吸収が良いため、効率よくエネルギー補給ができます。粘りがあるので分解に時間がかかり、これが「腹持ちがいい」と言われる理由です。

市販の切り餅2個でご飯1膳分

ご飯、お餅(100gあたり)の炭水化物とエネルギー量を比較してみましょう。炭水化物は、ご飯が37.1gでお餅は50.3g。エネルギーはご飯が168kcal、お餅は235kcalと、ともに1.4倍ほど餅の方が多くなります。

市販されている切り餅は45g~50g程度の重量が多いため、100gは約2枚分。ご飯100gというのは、コンビニで売られている小さなおにぎり1個程度分。つまり、餅2個分の炭水化物やエネルギーは、ご飯150g(普通茶碗1膳分)分のエネルギー252kcal、炭水化物55.7gと同じくらいということです。「ご飯をたくさん食べるのはつらいけど、お餅ならたくさん食べられる」という時は、食べやすい餅を選ぶといいのです。

餅をストック食材にして補食に

普段はあまり、切り餅を購入しないご家庭でも、お正月の食卓にはお雑煮やお餅が並びますよね。余っているならぜひ、ぜんざい、きな粉もち、磯部もち、大根もちなどにアレンジして、アスリートの補食に活用してください。

また、お餅は正月料理にこだわらず、一年中使える食材です。保存も利くのでストック食材にして、補食のレパートリートを増やしていきましょう。

ただし、お餅の困ることや嫌なことに、後片づけがあります。お皿や鍋についた餅がなかなか取れない場合はお湯に少しつけておく、お雑煮などをお椀に盛る時は、先に少し汁を入れてからお餅を入れると、洗うのが楽になります。トースターで焼く場合はクッキングシートを敷くと、こびりつかず便利です。

今回は、電子レンジで簡単に作れる「レンチンきな粉もち」を紹介します。「レンチン」したらきな粉をのせるだけ。準備を含めてわずか5分。今回はきび砂糖を使っていますが、黒蜜やはちみつをかけてもおいしくいただけます。

脂質も多くないため、練習前後にあっさりと食べられますね。1人暮らしの選手も、簡単に自分で作ることが出来ます。また、この容量でお餅を柔らかくすれば、きな粉以外のトッピングも楽しめ、補食のバリエーションを増やすことができますね。

管理栄養士・舘川美貴子