前回は「試合前日の食事のポイント」についてお話ししました。今回は「試合当日の食事のポイント」をお伝えします。

試合当日も試合前日と同じように、エネルギー源となる糖質を多くとり、脂質や食物繊維の多いものなど、消化の悪いものはとらないようにします。このことをご存じの方は多いと思いますが、当日のコツは試合開始時間から逆算して、食事や補食の時間を考えることです。特に「消化」を考えて、食べる時間を設定しましょう。

開始時間から時間を逆算

食べたものが消化吸収されるまでには、約3~4時間かかると言われています。朝食などの食事は、糖質を中心に消化の良いもの(例:玉子丼とうどん、果汁100%オレンジジュースなど)をとり、試合開始2~3時間前までには済ませておきましょう。

それよりも開始時間が早い場合は、おにぎり、カステラ、バナナなど、消化の良い糖質を中心とした補食をとり、それほど時間がない時は、素早くエネルギーに変わるゼリー飲料などが良いでしょう。

試合開始が10時の例

7時頃までに朝食を済ませる。朝食を十分にとれなかったときは、会場でカステラや果物などの補食を利用する。試合開始30分から1時間前には気温に合わせて、ゼリー飲料やスポーツ飲料などから水分とエネルギーをとる。

試合開始時間が13時の例

7時から8時までに朝食を済ませ、10時から11時頃に糖質を中心とした軽食(補食)をとる。試合開始30分から1時間前には気温に合わせて、ゼリー飲料やスポーツ飲料などから水分とエネルギーをとる。

こまめな水分補給を忘れずに

運動したり体を動かしたりすると汗をかき、体は脱水に近い状態になります。さらに試合で緊張すると、いつもはかかない手のひらなどからも汗が出て、自覚しないうちに汗が流れ出ていきます。運動する前から脱水にならないように、朝から意識して水分をとるようにしましょう。

食事のときは状況に合わせて、水やお茶、牛乳、100%果汁ジュースなどを飲むのが良いですね。ただし、飲みすぎて、おなかがちゃぷちゃぷするような状態は避けてください。

試合当日の食事のポイントは理解できたでしょうか。とはいえ、この日だけ食事を意識しても効果はありません。大切な試合にベストコンディションで臨むためには、普段の食事を継続的に整えていることが前提です。

その上で試合当日の食事のポイントを理解し、試合時間に沿って食べる時間を決めていきましょう。また、事前に何度か「いつ、何を、どのくらい口にしたらいいのか」を試し、自分の体にあったものを見つけて本番に臨むと良いでしょう。

今回は、試合日の朝食にぴったりな「長イモ入り玉子丼」を紹介します。すりおろした長イモが卵と絡み、フワフワでおいしい味わいです。エネルギー源となる糖質を多くとりたいため、うどんとおひたし、フルーツ、ヨーグルトなどと組み合わせると良いでしょう。

皆さんが試合で練習の成果を発揮し、存分に楽しめるよう応援しています。

管理栄養士・舘川美貴子