<キッチンは実験室(21):黒豆の科学>
皆さん、こんにちは。キッチンの科学プロジェクト(KKP)のみせすです。すっかり年末ですね。今回は、「おせち料理」につきものの黒豆やおしるこにちなんだ科学です。
しわがよる、硬くなる理由
おせち料理のために黒豆を手作りする人も多いと思います。しかし、作ってみたら「しわが寄った」「硬くなった」といった声も聞こえてきます。
理由はいくつかあります。
●しわがよる理由
・急な温度変化:黒豆の細胞が壊れて水を吸わないまま、火が通ってしまう。
・いきなり濃い煮汁:黒豆の中の水分が外に出ていき、内部の水分が失われてしわしわになる(浸透圧)
・強火:火が強いと対流が起こり、黒豆がお鍋の中で回って身が欠けたり、中身が皮から飛び出ししたりしてしまう。
●硬くなる理由
一度豆を水煮して柔らかくなった後に調味料を加えても、硬くなってしまうことがあります。これは調味料を加えることで外の液の濃度が急に高まり、豆の中から外への水分が移動して、豆の組織が収縮するためと考えられています。
以上のことから、黒豆をふっくら仕上げるコツは
★弱火でコトコト煮る
★砂糖を少しずつ入れる(浸透圧の急激な上昇を避ける)
となります。これを守ってくださいね。
調味料液で戻す方法も
また、最近では黒豆を水で戻すときに、調味料の味をつけた液で戻し、一晩おいてから弱火で煮る、という方法もあります。これは、浸透圧の原理を使っています。調味料の液で戻すことで、火が通って硬くなる前の豆の中に濃い液が入ります。煮るときの煮汁と、黒豆の内部の水分の濃度は同じ濃さなので、浸透圧が上がらず、しわしわになりにくく煮ることができると言われています。この方法も参考にしてください。
黒豆を煮てみよう!
■材料
・黒豆…300g
<A>
・水…1200cc
・砂糖…200g
・しょうゆ… 大さじ2
・塩…小さじ1
■作り方
(1)黒豆は水で洗っておく。
(2)お鍋に<A>を入れて煮立たせる。
(3)(2)が冷めたら黒豆を入れる。
(4)弱火でコトコト3~4時間煮る。
次のページ黒豆からもあんこができる?