なぜ果物は冷やすと甘い?
しかし、例外もあります。イチゴ、モモ、サクランボ、メロンなど、果物は冷やして食べた方が甘味を感じやすく、おいしいですよね。
同じ甘いものでも、果物に含まれる糖は大半が「果糖(フルクトース)」。果糖は温度によって化学構造の形が変わり、甘さの度合い(甘味度)がなんと3倍も違うのです。果糖は冷やした方がより甘く感じるので、冷やして食べてください。
私はよく、熟した食べごろのフルーツを購入すると、皮をむいて一口大に切って冷凍しておきます。口の中で冷たく甘く感じますし、凍っているので食べ過ぎることもありません。バナナの皮をむき、変色予防にレモン液を垂らしてラップに包んだ冷凍バナナは、半解凍なアイスのような食感で食べ過ぎ予防におすすめです。
ゼリーや寒天は甘くない?
さて、果汁100%ジュースはそれだけでおいしいのに、寒天(ゼラチン)などの凝固剤を加えてゼリーを作ると、あまり甘くない、と思ったことはありませんか?
理由は「硬さ」。例えば、砂糖濃度が10%(150mlのコップ1杯に大さじ1程度の砂糖)を入れた水と、同じ濃度の水ようかんがある場合、水は甘すぎると感じるのに対し、水ようかんはあまり甘く感じないのです。
液体は、味覚が分かる舌の細胞に直接つくので、すぐに甘さを感じますが、固体は、唾液に溶けたり、食べ物の汁がしみ出したりして初めて舌の細胞に接するので、味を感じにくいのです。ゼリーを作るときは、出来上がりの硬さも味の決め手となります。
味を決める食感・テクスチャー
硬さだけでなく、食感によって、味が大きく異なります。同じ白米(ご飯)でも、炊き方で味が違うと感じることはありませんか? 味を決めるのは、「化学的な要因」だけでなく、外観、色、音、温度、テクスチャーなどの「物理的な要因」もあるのです。
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