シメサバの原理も浸透圧の応用
さて、シメサバを作るときは、酢に漬ける前に塩、もしくは砂糖をしっかりと振り、数時間から1日おきます。その後、塩を水洗いして酢漬けにするのです。塩につけておく時間が長いほど身が硬く、締まってきます。つまり、酢で締めるのではなく、塩または砂糖で締めるというわけです。
サバは鮮度が落ちやすい魚なので、浸透圧の力でサバの身の水分をある程度、抜いておく必要があります。水分が抜けることで独特の臭いがとれて腐敗しにくくなり、酢が入りやすくなります。
ちなみに、サバが腐りやすいのはタンパク質分解酵素が多いから。うま味成分のヒスチジンが多い分、分解してしまう酵素も多いのです。分解が進むと生臭くなりますが、臭い物質を中和するのは酢です。冷蔵技術も低かった昔。酢を使って保存したのは昔の人の知恵ですね。
漬物がしょっぱい理由
腐るといえば、水分が多いほど雑菌は繁殖して腐りやすくなります。野菜の漬物は腐敗防止として、食塩による保存性を利用したものです。
●浅漬け=塩分2~4%
●長期漬ける漬物=塩分5~10%
漬物は食塩による脱水と浸透作用により、野菜の細胞が外に出すぎて細胞が壊れます(原形質分離)。それによって、半透性の細胞膜が水でも食塩でも通すようになり、漬け込み中の微生物の発酵作用によって生じる酸味や香りが野菜の中に充満することで、おいしさを引き立てるのです。
作ってみよう!夏野菜で簡単浅漬け
それでは最後に簡単な浅漬け作りを紹介します。子どもでも簡単にできる常備菜ですので、ぜひ親子でトライしてください。
<材料>
・キュウリ=2本
・ミョウガ=11かけ
・塩昆布=10g
・ゴマ油=お好みで
<作り方>
(1)キュウリはスライサーで薄くスライスする。
(2)ミョウガは千切りにする。
(3)野菜と塩昆布をジッパー付き保存袋に入れ、よく振る。
(4)しんなりしたら出来上がり。食べるときにお好みでゴマ油をかけるとコクがでます。
※お好みの野菜を加えてもおいしく作れます。