原理を知って冷凍焼けを防ぐ

逆に言うと、その原理を知っていれば、「冷凍焼け」を防ぐことができます。冷凍焼けの原因は食品中の水分の蒸発、つまり「乾燥」と「酸化」なので、乾燥させない、酸化させない工夫をすれば防げる確率が高まるのです。

それでは冷凍焼けを防ぐコツを4つ紹介しましょう。

(1)下味をつけて冷凍し、保水
味の濃い液をひたひたに漬けたまま、水分ごと冷凍する。また、調味液が食品の組織内に入り込むことで保水効果がある。

そぼろやハンバーグなど調理済みのものを冷凍するのも同じ原理。すでに食品内に調味液が入り込んでいるので、乾燥しにくい状態になっています。生肉のまま冷凍したら2週間程度しかもたないものが、調理済みのものはその約2倍、1カ月間ほどもつと言われています。

(2)できるだけ密閉して冷凍
一番冷凍焼けを起こしやすいのは、買ってきた肉をパックのまま冷凍することです。小分けにしてラップに包み、さらにジッパー付き冷凍袋に入れて保存するのがおすすめです。

(3)水分がある状態で冷凍する
冷凍する時は、水分がある状態で急冷するのがポイント。例えば、ご飯は保温して余ったご飯よりも炊き立てをラップに包み、粗熱をとった後に急速する方が良い状態です。

(4)冷凍庫の開け閉めは最低限に
冷凍庫の開閉をすることで空気が入りこみ、酸化が進みます。開閉をするたびに温度が上がり、解凍と冷凍を繰り返すことにもなるので、開閉は最低限にしましょう。

冷凍の科学

冷凍の定義って?フリージング?

最近の冷蔵庫は性能が良くなり、冷凍庫、チルド室、野菜室にパーシャルフリージングまであり、メーカーによって様々な特徴があります。通常の設定温度は、冷凍庫はマイナス18℃以下、冷蔵庫は3~6℃。パーシャルフリージングは、その名の通り、部分(パーシャル)冷凍(フリージング)、つまり半冷凍のこと。冷凍すると解凍に時間がかかるために開発されたもので、少ししか凍っていないので「切れちゃう冷凍」のようなキャッチフレーズもありました。

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チルド室の設定温度は0℃。マイナスではないので凍らせず、品質を長めに保つことができます。加工食品や発酵食品の保存に適しています。一方で野菜室は冷えすぎないように温度が少し高めです。これらをうまく使い分けることで、食品の品質を保ち、おいしく安全な食事作りにつながります。

ただし、業務用や高価で性能の良い家庭用冷凍庫でない場合、一般の家庭用冷蔵庫ではどうしても限界があります。急冷するとはいっても、業務用に比べて凍る時間が遅いため、うま味や水分が流出してしまい、結果的に、乾燥や酸化を引き起こします。冷凍保存してもできるだけ早く食べるように言われる理由の1つです。

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作ってみよう!アイス感覚な冷凍バナナ

今回紹介するレシピは「冷凍バナナ」です。皮つきのまま冷凍すると、皮がカチコチに、真っ黒になってしまい、解凍にも一苦労。皮をむいてラップで包めば、アイスクリーム感覚ですぐ食べられます。

バナナのほか、よく洗った皮つきのブドウや皮をむいたミカンやオレンジを房の単位にして凍らすのもおすすめです。フルーツには糖分が入っているためカチコチにならず、そのまま食べられるものが多く、ゆっくりと味わって食べられるので食べすぎを防ぐことができます。ぜひ、色々な冷凍フルーツを試してみてください。

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材料

バナナ

作り方

(1)バナナの皮をむく
(2)食べやすい大きさに切ってラップに包む(1本丸ごとでもOK)
(3)(2)をさらにフリーザーパックにいれて密閉
(4)半日~1日以上おいて冷凍したら完成!

牛乳と一緒にフードプロセッサーにいれて撹拌(かくはん)し、はちみつなどで味を調整すれば、スムージーになります(バナナ1本に対し牛乳25cc~)。