薄力粉と強力粉を判別する方法

これらの粉は見た目では判別しづらいですが、つかんでみると違いが分かります。

小麦粉を手でぎゅっと握った時の目安
・握った時の手指の形が残る。しっとり→薄力粉
・握った形にならずボロボロと崩れる→強力粉

触れば分かる薄力粉と強力粉、小麦粉の性質と違い/キッチンは実験室(53)

この違いは、グルテンの含有量にあります。

・薄力粉=グルテン(タンパク質)が少ない(軟質小麦)、でんぷんが多い
・強力粉=グルテン(タンパク質)が多い(硬質小麦)、でんぷんが少ない

触れば分かる薄力粉と強力粉、小麦粉の性質と違い/キッチンは実験室(53)

タンパク質であるグルテンはでんぷんと結びつくと、比較的硬くなる性質があります。グルテンが多い小麦を砕くと粒が大きいまま残るため、ぎゅっと握ってもさらさらしていて握った形のまま残りません。薄力粉は、強力粉よりもでんぷんの割合が多く柔らかいため、小麦を砕いた時に粒が小さくしっとりしているので、握った時に手指の形が残りやすいのです。

それでは、小麦粉の断面を見てみましょう。外側は茶色いタンパク質で覆われており、内側には白いでんぷん質がつまっています。ただ、小麦の品種によっては茶色い部分が多いもの、白い部分が多いものと分かれます。

触れば分かる薄力粉と強力粉、小麦粉の性質と違い/キッチンは実験室(53)

地粉は、ほぼ中力粉

「地粉」は、地元で収穫された小麦粉の粉のこと。うどんや粉物文化のある日本では、日本各地で中力粉になる小麦が生産栽培され、収穫されてきました。ということから、「地粉」は「ほぼ中力粉」という認識で大丈夫です。

中力粉がない場合、薄力粉と強力粉を約半分ずつブレンドすれば、代用することもできます。また中力粉でパンを作ると、少しふわっとした柔らかめなパンが出来上がります。まだまだコロナ禍で品薄にもなりうる状況。「科学」を知っておくと、そうした時に対応できますよね。

打ち粉に適した粉は?

お菓子やパンを作る時に欠かせない「打ち粉」。作業台に生地がくっつかないように、ぱっと薄く振りまく粉です。さらさらしていて均等に広がること、生地についた時も簡単に叩き落とせる性質が必要なポイントです。

一般的には薄力粉より強力粉の方がよく用いられます。その理由は、先ほど説明したように、強力粉の方が粉の粒が粗く、さらさらした性質を持っているためです。

パン作りに挑戦してみよう

小麦粉の性質が分かったなら、パン作りにもチャレンジしてみましょう。下記のコラム内にある作り方を参照してください。

夏は気温が高いため、常温でも発酵しやすく、失敗も少ないといわれています。パンの生地を広げて具材をのせれば、ピザになりますし、薄く広げてフライパンで焼くと、ピタパンにもなります。ぜひパン作りを楽しんでみてくださいね。

触れば分かる薄力粉と強力粉、小麦粉の性質と違い/キッチンは実験室(53)

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