炭酸まんじゅうの皮が黄色い理由
一方、フラボノイドをアルカリ性で黄色くした例もあります。
昔ながらのおまんじゅうに「炭酸まんじゅう」がありますが、酒まんじゅうと比べると、皮が黄色っぽいと思ったことはありませんか? 炭酸まんじゅうの材料である小麦粉には白い色素(フラボノイド色素)が入っており、まんじゅうを膨らませるために炭酸(重曹)を使います。重曹はアルカリ性のため、黄色く変色するのです。
「どら焼きの科学」で伝えたように、どら焼きや炭酸まんじゅうの皮には重曹が含まれています。重曹は加熱すると炭酸ナトリウムに分解されてアルカリ性になり、二酸化炭素が発生するので膨らむのです。
●膨らませる方法の違い
・パン(白)=イースト菌による発酵
・パンケーキ(白)=ベーキングパウダー
・炭酸まんじゅう(黄色い)=重曹で膨らませる
ラーメンが黄色い理由とかんすいの役割
ラーメン(中華麺)が黄色いのも、小麦粉にアルカリ成分が加わったことによるものです。中華麺には「かんすい」というアルカリ性の成分が含まれています。
かんすいは、中華麺になくてはならない食品添加物です。小麦粉のタンパク質(グルテン)に作用し、弾力や伸び縮みがある麺になり、コシや滑らかさがアップします。かんすいによって、独特な香りともちもち感、色合いの3つの効果が出るのです。
なお、市販の「かんすい」は主成分のカリウム、ナトリウムの炭酸塩とリン酸塩を原料とした混合物を指しています。割合や成分の違いで、同じ市販の麺でも味が変わるのですね。なお、「かんすい」の語源は、中国の塩水湖(鹹湖=かんこ)の水を使ったことから。ナトリウムを含んだ水のおかげで、偶然にも歯応えのある風味の良い中華麺ができたことが由来となっています。
かんすい不要、自宅で中華麺を作ってみよう
それでは、家で中華麺を作ってみましょう。「かんすいがない」と諦めた方、ご安心ください、科学の力を使えば、似たような中華麺ができるのです。
かんすいの主成分は、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムでアルカリ性の塩に分類されます。これに近い成分を持つ家庭にあるものといえば、重曹です。重曹の成分は炭酸水素ナトリウムで、加熱すると水素が分解されて、炭酸ナトリウムになるのです。
その原理を応用して実験しましょう。一度沸騰させた重曹水を冷まし、強力粉を混ぜ合わせ、生地を寝かせて伸ばすと中華麺が出来るのです。ぜひ試してみてください。
■重曹で中華麺!の作り方
<材料(2人分)>
・強力粉…200g
・重曹…2g
・食塩…2g
・水…80g
・コーンスターチ(打ち粉用)…適量
<作り方>
(1)鍋に重曹と水を入れて沸騰させてから冷ます(重曹をから炒りしてもOK)
(2)ボールに強力粉、塩、冷めた(1)を入れて指でぐるぐる混ぜて5分くらいすりあわせる
※ポイント:こねるのではなく手でもみほぐす感覚で
(3)フリーザーバッグの中に入れて1cmの厚さで平らにならす
(4) 30分くらい寝かせたら、生地を20cm正方形まで伸ばし、包丁で麺を切る
※ポイント:片栗粉ではなくコーンスターチを使うことで、茹でたときに粘りが出にくい
※ポイント:切った麺に打ち粉をまぶし、手でぎゅっと揉んで縮れさせたら、手揉み麺に
(5)鍋に2ℓのお湯をいれて、沸騰したら4~5分、強火で茹でる
(6) お好きなスープに入れたら完成!
これは簡単!パスタの中華麺風
「ちょっとハードルが高いな」と思った方は、パスタを中華麺に変身させてみましょう。
パスタ100gを茹でるとき、1リットルの水に対して重曹と塩を小さじ1ずつ入れるだけです。推奨時間よりも2分くらい長めに茹でると、中華麺のようなモチモチ感と独特の風味が広がります。
<作り方>
(1)水1リットルに重曹(小さじ1)、塩(小さじ1)を入れて沸騰させる
(2)パスタ100gを茹でる
(3)2分長めに茹でる
「おうち時間」がまた長くなってきたこの冬。今回学んだカリフラワーやゴボウ、レンコンの根野菜を入れた野菜たっぷりのラーメンを作ってみませんか。親子で自宅での実験を通して、温かい料理を作って心と体を満たしてみてはいかがでしょうか。