玄米を食べたらやせる!?

「玄米ダイエット」というフレーズを聞いたことはありませんか。実際は、カロリーは白米とほぼ同じなので、食べ過ぎたら太ります。それでも玄米がダイエット向きと言われているには、次の理由があるからです。

まず、玄米は白米よりもぬか層や胚芽があるため、食物繊維が白米の6倍もあると言われています。これにより腸内環境の改善や血糖値の上昇を緩やかにする働き、中性脂肪の腸内吸収を低くするなどの効果が期待されています。

さらに、白米よりも5倍のビタミンB群(ビタミンB1、B2、B6)やマグネシウムが含まれ、炭水化物をエネルギーに変える働きが期待されます。玄米自体に味があるため、おかずが簡素なものでいいといった声もあります。

個人的には、「よく噛める」のが利点だと思います。炊き方によって、硬めにももちもちにも炊ける玄米は、じっくり時間をかけて食べることができ、よく噛むことで「満腹センサー」が働きます。とは言うものの、ダイエットは最終的にバランスですので、食事と運動を組み合わせて行ってみてくださいね。

発芽玄米の栄養価が高い訳

中学の理科で、豆の種子を水につけておくと、芽が出て子葉や茎、根っこが出てくるという「発芽」の勉強をしたことでしょう。玄米にも胚芽が残っているので、この「発芽」が起こります。

胚芽には酵素が含まれ、水分やある程度の温度の条件下で発芽します。30度のぬるま湯に半日以上つけておくと発芽し、芽が1㎜以下の時に成長を止めたのが発芽玄米と一般的に言われています(炊飯器によっては「玄米活性化モード」として、40度2時間などの高温短時間の設定があるものも)。

発芽すると栄養価が高まるのはなぜでしょうか。

水に浸した際に、そのストレスによってイネの発芽を促す植物ホルモン(ジベレリン)が分泌されます。その際、一緒にイネの種子に蓄えられたでんぷんやタンパク質を分解する酵素(アミラーゼ、プロテアーゼ)が生成されます。食べた際の消化吸収も上がります。つまり、玄米が発芽のエネルギーを得るために自分自身の養分を分解し始めるため、玄米の栄養価が上がるのです。

その過程で生まれるアミノ酸の中で、近年注目されているのがGABA(ガンマーアミノ酪酸)。血圧を下げたり神経を沈めたりする効果があると言われています。発芽すると、GABAは白米の10倍、玄米の1.5倍~3倍に増えると言われています。

酵素玄米が色が濃くなるのは

「酵素玄米」「寝かせ玄米」「熟成玄米」という名称を聞いたことはありますか。玄米と一緒に小豆を入れて炊き、ジャーで3日以上保温してから食べるものです。

色が赤茶色になるのは「メイラード反応」によるもの。玄米と、小豆に含まれる糖とアミノ酸が熱に反応して褐色の抗酸化作用を持つ物質(メラノイジン)を生み出し、これによって玄米が茶色っぽくなっていきます。

メイラード反応は以前、「お絵かきホットケーキの秘密」や「あめ色タマネギの科学」、「どら焼きから見る膨らみと焼き色の科学」でも説明した焦げの科学反応。低い温度でも時間をかけることで反応が起こり、数日寝かせることにより、香ばしくなってきます。

酵素玄米のおいしさは、実はまだ科学で完全に解明されていませんが、次のような説があります。

・70度で保温することで空気中の菌による熟成が起こり、玄米のうま味やタンパク質が分解されてより味わい深くなる
・でんぷんの糊化が進むことで米に柔らかさと粘りを出すアルファ化が進み、水分が飛ぶことでもちもちした食感になる ・保温によって酵素が働いてアミノ酸分解で起こる

酵素玄米に小豆を入れるのは

その酵素玄米に小豆を入れる理由も様々ですが、主に小豆により「栄養価が上がる」「抗菌作用が期待できる」ことだと言われています。

(1)小豆による栄養価が上がる

小豆には糖質を代謝するビタミンB1やポリフェノール、鉄、マグネシウムが含まれ、玄米だけでは不足する栄養素を補ってくれる働きがあります。玄米に小豆を加えることで8つの必須アミノ酸が補えること、大豆や黒豆のほかの豆よりも粒が小さく米と一緒に炊ける、小さいので食感が気になりにくい、といったものです。

(2)小豆の抗酸化作用

小豆には抗酸化作用と抗菌効果があるために、数日寝かせても腐りにくいとう効果があります。

他にも赤飯のように色を鮮やかにする、赤い色で邪気をとるなどの説もあります。

圧力鍋で酵素玄米を炊いてみよう

炊飯器で作っても良いですが、圧力鍋を使って「酵素玄米」を炊く方法をお伝えします。

<材料>
・玄米…5合
・小豆…50g
・塩…5g
・水…1.2L

<作り方>
1、玄米をよく研いで半日~1日浸水させる
2、圧力鍋に塩、小豆を加えて、泡立て器でよく混ぜる
3、中火で火にかけて、圧が上がったら弱火にして20分
4、火を消して圧が下がるまで蒸らす
5、保温ジャー(もしくは炊飯器の保温機能)に移し替えて3日置く。1日1回しっかりかき混ぜる