削り方にも種類や特徴がある
かつお節はカビの有無のほか、削り方にも種類があり、特徴があります。向いている料理もそれぞれです。また、良いかつお節を見分けるポイントもあります。
●平削り 花城に薄く削った削り節。1番だしに使われる
・向いている料理:お吸い物、みそ汁、お好み焼き
●ソフト削り 平削りよりもさらに薄く削ったかつお節。口当たりが滑らかで豊かな風味が特徴
・向いている料理:おひたし、冷奴、ご飯の上に
●破片削り 薄削りしたものを、さらにカットして小さいサイズにしたもの。汁辛味が良い
・向いている料理:おにぎりの具材(おかか)、土佐煮
●糸削り 細く糸城に削ったかつお節。繊細で美しい形状のためおもてなし料理のトッピングに用いられる
・向いている料理:お雑煮、パスタ、サラダ、お漬物
●削り粉 かつお節を粉にしたもの。生地や餡に練り込んで和風の味付けに使われる
・向いている料理:お好み焼きの生地、煮物用のだしパック、みそ汁
●荒削り 厚く削ったかつお節。うま味をじっくり煮出して用いられ、コクと深みが出る
・向いている料理:煮物、めんつゆ
■良いかつお節の見分け方
・きめ細かい茶褐色のカビが、薄く均一に生え揃っているもの
・節に残された皮のしわが、ちりめんのように細いもの
・乾燥していて、かつお節同士を叩くと、固く澄んだ余韻のある音がするもの
・表面がふっくら丸みを帯び、持った時にずっしりと重みを感じるもの
オスとメスじゃない雄節と雌節
かつお節を節で買おうと思ったら「雄節(おぶし)」「雌節(めぶし)」という呼び名があります。オス、メスの性別ではなく部位別で、背中側を原料として作った節を雄節(男節、背節)、腹側を原料として作った節を雌節(女節、腹節)としているのです。
余談ですが、これがかつお節が結婚式の引き出物によく使われる理由にあたります。
かつお節を作る際、生のカツオを5枚に下ろします。まず頭をとり、中骨をとり、3枚におろした後、片身の真ん中で背側(雄節)と腹側(雌節)に切り分けられます。これを新郎新婦と見立て「2人が揃って1つの形を作る」という夫婦円満の形を表しているのです。また、本枯節のように長い年月を経て味わい深くなる夫婦関係なり、冬でも枯れない長寿の縁起物といった意味も含まれています。
さて、その雄節と雌節も実は使い方が異なるのです。
●雄節
背中のため筋肉が多く、脂肪分が少ないため、あっさり透明の澄んだだしに。一番だしやお吸い物など素材の味を生かす薄味の料理に使われる。大きな花削りに削れるので見た目を華やかなに演出
・向いている料理:お吸い物など
●雌節
腹側なので脂肪が多くてコクがある。雄節と比べて少し白濁した濃厚なだし。だしの味が調味料に負けない。節の形は内蔵部分を取り除いたくぼみがある。丸みを帯びている
・向いている料理:みそ汁、めんつゆ、煮物などのしっかりとした味付けの料理
ホウレン草にかつお節を使う理由
ホウレン草のおひたしに、なぜかつお節をかけるのかご存知ですか。
ホウレン草にはアクの一種である「シュウ酸」の成分が含まれています。過剰摂取すると尿管結石などの原因になりかねません。そこで活躍するのがかつお節。かつお節にはカルシウムが豊富に含まれており、カルシウムとシュウ酸が結合することで、シュウ酸を体外に排出しやすくする効果があるのです。
もちろん香りをつけたり、おいしそうな見た目になるのもかつお節のおかげですね。カルシウムの効果で排出しやすくするといった観点では、「ホウレン草のゴマあえ」「ホウレン草と桜エビの煮浸し」「ホウレン草のちりめんじゃこあえ」も同様の効果があります。
削り器で削る正しい向き
今はなかなか家庭で見ることもない「かつお節削り器」。削る向きがあるのをご存知ですか。逆方向に削ってしまうと、さぁ大変! 粉になってしまうのです。かつお節は魚なので、筋の方向があります。
■かつお節の削り方
かつお節の頭を下にしてカンナに当てて削っていきます。いびつな形をしているのが頭側です。かつお節とカンナの角度は40度くらいにし、体重をかけてゆっくりと、上からかつお節を押しながら、前方へ削っていきます。
■カビの取り方
その際、手につくカビは無害なのでそのまま拭かずに削っても問題ありませんが、気になる方もいると思います。そのときは乾いた布で軽くカビを落としてください。水で洗ってしまうとかつお節に湿気がつき、風味が落ちて酸化する原因になってしまうのです。
かつお節はカツオ、魚からできているので、貴重なタンパク源です。アスレシピにもたくさん、かつお節を使ったレシピが掲載されています。料理に手軽にトッピングできるので、ぜひ作ってみてくださいね。