<栄養素を無駄なく摂る食べ方:野菜編>

トマト

 ビタミンCやβカロテン、ビタミンB群、ビタミンEなど、多くの栄養素を含むトマト。赤い色は色素成分のリコピンによるもので、高い抗酸化作用を持ちます。多くの栄養素は、普通のトマトよりミニトマトの方に多く含まれています。

 皮に張りと光沢があり、へたがピンとしているものが新鮮です。種の周りのゼラチン部分が赤色だと甘みが、緑色だと酸味があり、両方あるものは甘みと酸味のバランスがとれています。

主な栄養素
 βカロテンは体内でビタミンAに変わり、目の健康や視力の維持に効果を発揮します。ビタミンC、Eも多く、これらは3大抗酸化ビタミンと呼ばれ、相乗効果があります。赤い色素成分のリコピンにも高い抗酸化作用があります。体内の塩分濃度を調整するカリウム、疲労回復に役立つクエン酸、うま味成分のグルタミン酸なども含まれています。

保存するなら
 ポリ袋に入れて封をし、冷蔵庫で保存するほか、おすすめなのが丸ごとの冷凍。酸味がやわらぎ、うま味がぐっと深まります。

 使うときは常温に出して5分ほどおき、水を通すと皮がつるりとむけます。滑りやすいので、手を切らないように注意してざく切りにし、凍ったままスープやカレーに入れると、料理にうま味が加わり、栄養効果も損なわずにいただけます。

栄養素を無駄なく摂るコツ
 リコピンやβカロテンは脂溶性のため、油と一緒に摂ると吸収がよくなります。また、皮ごと食べることで、より食物繊維の摂取量が多くなります。

 生で食べるのはもちろん、加熱しても美味。加熱によってリコピンの吸収率が高まるといわれ、酸味がやわらぎ、うま味成分も凝縮されます。旬の時期にたくさん手に入ったら、トマトソースにして冷凍保存しておくと使い勝手がよいでしょう。卵とさっと炒め合わせて食べるのもおすすめです。

【料理研究家、栄養士・今泉久美】