<栄養素を無駄なく摂る食べ方:野菜編>
シメジは本来、秋にブナやカエデなどの広葉樹の根元に生える「ホンシメジ」を指しますが、現在一般的に流通しているのは、人工栽培された「ブナシメジ」です。
俗に「においマツタケ、味シメジ」と言われるように、グルタミン酸、グアニル酸、アスパラギン酸などのうま味成分が豊富です。ホンシメジの方が香りが強いと言われますが、1年を通して安定した価格で手に入るブナシメジにも、うま味成分は十分含まれています。
ブナシメジを品種改良したホワイトシメジは、ブナシメジより苦みが少なく、くせがないため近年人気が上昇しています。
かさが開きすぎず、弾力があるものが新鮮です。寄せ集めたものより1株にまとまっているものが味も香りも良いでしょう。やわらかくなっているものは、鮮度がおちているので避けましょう。
◆主な栄養素と無駄なく摂るコツ
他のキノコ類同様、低エネルギーで食物繊維、ビタミンD、ナイアシン、ビタミンB1、B2、葉酸、パントテン酸、カリウムなどが豊富です。
ブナシメジに含まれるオルニチンは、アミノ酸の代謝で生成した有害なアンモニアを分解し無毒化します。激しい運動でもアンモニアは生成されやすく、疲労物質でもあります。アンモニアが分解されることで疲労回復し、さらに代謝を高める作用があります。運動前後の食事にシメジを取り入れることで、エネルギー産生、疲労回復に効果が期待できます。
米に少ない必須アミノ酸のリシン(リジン)を含むことも特徴です。これもうま味成分の1つです。
調理の際は、うま味成分が抜けないように水洗いせずに加えます。加熱し過ぎると歯ごたえがなくなり、うま味成分も溶け出してしまうため、煮汁も一緒に食べられる調理法がおすすめです。
炒め物にすると脂溶性のビタミンDは吸収率が高まりますが、油もたっぷり吸収するので、油の摂りすぎには注意が必要です。
◆保存するなら
水けがつくと傷みやすいため、キッチンペーパーなどで包んで野菜室に入れ、3~4日で食べきりましょう。
冷凍する場合は石づきを切り落とし、ポリ袋に入れて生のまま冷凍します。使う時は、凍ったまま折ったり切ったりして加熱すると、うま味成分が流れ出ず、歯ごたえも残ります。
天日干しをすると、ビタミンDが増加します。干しシメジは、オリーブ油で炒めてオイル漬けにし、密封容器に入れておけば、使いやすく日持ちもします。
【管理栄養士・今井久美】