オメガ3系うつ病にも効果
また、世界的に権威のある学術誌ネイチャーの発行元ネイチャー・パブリッシング・グループの医学誌「モラキュラー・サイカイアトリー」は、地中海食にうつ病を抑制する効果が認められたと発表しました。論文では、より地中海式に近い食事をとる人の方が、全くかけ離れた食事を取る人に比べて、うつ病を発生する可能性が33%低い、つまり3分の1程度になると伝えています。
地中海食がうつ病を抑制する主な要因として
(1)砂糖や牛肉などに含まれる飽和脂肪といった炎症性成分をほとんど摂らない
(2)抗炎症・抗酸化作用のある野菜や果物、ナッツを多く摂取することで脳を酸化ストレスや炎症から守る
(3)脳の細胞の構造と透過性を助ける効果があり、特に、DHAやEPAなどのオメガ3系脂肪酸を含む魚介類を多く食べていることで、うつ病との関わりが高い海馬を保護する役目がある
(4)野菜中心の食事は腸内環境を整え、脳や精神的に良い影響を与える物質を体内で増やす
アスリート食とも共通
これを見ると、アスリートに必要な食事を思い出しませんか? アスリートも、トレーニング後の体内の炎症を抑え、ケガを予防したり、強い細胞を作ったりするためには、魚を食べてオメガ3系の油脂を体に取り入れることが大切です。
また、運動することで生じる活性酸素を抑制するために、抗酸化作用の強い緑黄色野菜やアーモンドなどのナッツ類を摂ったり、免疫力向上、腸内環境を整えるためにヨーグルトなどの乳製品を摂ったりするなど、共通する点はたくさんあります。体にとって必要な食事は運動する人も、しない人も同じなのかもしれません。
さて、今年7月に発表された2017年の日本人の平均寿命は、女性が87.26歳、男性が81.09歳で、いずれも過去最高を更新。厚生労働省が把握する50の国・地域で比べると、女性は3年連続の世界2位、男性は前年の2位から3位に下がりました。
1位は男女とも香港で、女性は87.66歳、男性は81.70歳。スペインは女性が3位で85.84歳、男性は10位で80.31歳でした。20年後はいかに?
【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】