<栄養素を無駄なく摂る食べ方:野菜編>

長イモはヤマイモの一種で、ヤマノイモ科に属しています。旬は年2回で、11~12月にかけて収穫される「秋掘り」と、3~4月にかけて収穫される「春堀り」があります。秋堀りはみずみずしく、春堀りは熟成が進んでいてコクがあります。

購入する際は、表面につやがあり色が濃くないもの、ずっしりと重いものが水分が多く、新鮮です。太い方がアクが少なく、まっすぐな形のものが調理しやすいでしょう。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
ビタミンB1、ビタミンCが多く、カリウム、鉄、亜鉛といったミネラル、食物繊維が豊富です。アミラーゼやジアスターゼといった糖類を消化する酵素を含むため、ジャガイモやサツマイモと異なり、生で食べても消化不良を起こしません。

アスパラギン、アルギニンといったアミノ酸も多く、おいしさ(うま味)だけでなく、筋肉増強効果も期待できます。

また、コリン(水溶性ビタミン様物質)、サポニンも含みます。コリンは脂質の代謝を改善し、動脈硬化や脂肪肝を予防。体内では神経伝達物質のアセチルコリンの材料となり、記憶力を高めます。サポニンは、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)を活性化させ、免疫力を高める働きがあります。アスリートや学生には、うれしい成分がたくさん含まれていると言えるでしょう。

アミラーゼなどの消化酵素は加熱すると減ってしまうので、生食がおすすめです。すりおろしてとろろにするほか、刻んでサラダやあえ物などにしてもおいしくいただけます。ベーコンや豚肉で巻いて焼いたり、炒め物、揚げ物も美味ですが、シャキシャキの食感を生かすために加熱のし過ぎには注意しましょう。

新鮮なものは皮まで食べられますが、むいた方が食感は良いでしょう。サトイモと同様にぬめり成分が含まれているため、ヌルヌルしてむきにくい場合は、輪切りにして皮を縦にむくか、キッチンペーパーで持つとむきやすくなります。

切り口の変色は、酢水につけることで防げます。触ると手がかゆくなるのは、シュウ酸カルシウムが原因。これも酢で洗うと取り除けます。

保存するなら
皮付きのまま新聞紙などで包み、風通しの良い冷暗所で保存すれば、冬場なら約1か月ほど保存できます。切ったものは切り口をラップで覆い、冷蔵庫で1週間ほど持ちます。切り口が赤く変色することがありますが、これはポリフェノールなので無害です。

冷凍保存は、生の場合はすりおろしたり細かく切ってから。冷凍してもアミラーゼは減りませんが、解凍する時にドリップと一緒にねばり成分が溶け出てしまうことがあるため、解凍せずに使いましょう。

加熱してから冷凍する場合は、固めにゆでます。使用時は解凍せずに調理すると、食感が残ります。

【管理栄養士・今井久美】