平成最後のバレンタインデーが、まもなくやってくる。日本のチョコレート年間消費量のうち、2月14日だけで2割を占めるといわれるほど定着したイベントだが、平成の30年の間に、女性が男性にチョコを贈るだけでなく、自分や女性同士で楽しむ機会に「多様化」した。今年は、80年ぶりに発見された話題の新種「ルビーチョコ」が登場。売り場のテーマパーク化で、違いを打ち出す百貨店もある。平成最後のバレンタイン事情を追った。【取材=赤塚辰浩、中山知子】
百貨店売り場も変化
愛を込めてチョコレートとメッセージを贈るのは、もう古い? バレンタインは、時代とともに様変わりしてきた。同時に百貨店の売り場も変化してきた。
松屋銀座(東京都中央区)は、取り扱うチョコのブランドを昨年の105から、85へと絞り込んだ。代わりに実演販売やイートインのコーナーを3店舗から11店舗に広げた。売り場をのぞくと、「お茶会?」と見間違えるほどだ。朱色の野点傘(のだてがさ)が目立つ売り場の一角。そこに女性たちが腰掛け、抹茶とチョコ状生菓子で一息入れている。和菓子業者とのコラボしたこのバレンタイン茶席は、業界初と思われる。飽和状態にあるチョコ販売に、和菓子を組み入れることで、異色の「クールジャパン」となった。
2月になると、百貨店の購買者の大半はチョコに目が向く。同じ甘い物つながりで和菓子を知ってもらってもいいのではないかと考える百貨店側と、彼岸や花見を控えて普及・促進を目指す和菓子業者側の考えが一致した。
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