エンタメ性豊かな売り場に
ただ単に、「今回初めて売り場に並びました」というチョコや、高級チョコを売るだけではない。付加価値をつける。本命チョコから「義理チョコ」「友チョコ」「自分チョコ」と、使い道は多様化、細分化している。売り場のエンタメ性も提案してきた。「バレンタインの世相は変わっています。『人にあげる』から、『自分も食べて楽しむ』ようになってきた。買い求めにいらした人たちが楽しんでもらえる空間を演出しました」と、松屋銀座食品部の牧野賢太郎さん(36)は説明した。
著名なパティシエ(菓子職人)やショコラティエ(チョコ職人)が、フェアを行う催事場でサインを求められる時代。「だったら、和菓子職人が脚光を浴びてもいいのではないか」との思いもある。
コンビニの利便性、スーパーなど量販店の物量作戦、ネット通販とは一線を画した。初売りに次ぐ商戦で、世相を反映させながら「和洋折衷」という独自性を打ち出している。
◆バレンタインデー 2月14日、世界各地でカップルが愛を誓い合う日とされる。もともと、269年にローマ皇帝の迫害下で殉教した聖ウァレンティヌスに由来すると、伝えられていた。日本でのバレンタインデーとチョコとの歴史については、諸説ある。神戸モロゾフ製菓(現モロゾフ)が、東京で発行されていた英字新聞「ザ・ジャパン・アドバタイザー」の1936年(昭11)2月12日付に、同社の広告を掲載した。また、50年代には百貨店業界が相次いで「バレンタインデー」の新聞広告を掲載。ソニー創業者の盛田昭夫氏は68年、自社の関連輸入雑貨専門店「ソニープラザ」でチョコレートを贈ることを流行させようとした。
(2019年2月10日付日刊スポーツ紙面掲載)