<栄養素を無駄なく摂る食べ方:野菜編>

豆苗はエンドウ豆の若菜(新芽)です。豆の香りがしてほんのりと甘味があります。エンドウ豆は紀元前7000年頃から栽培されていましたが、若菜を豆苗として食べるようになったのは中国で、春に出た新芽を手摘みするため希少品で高級食材でした。

日本に入って来たのは1970年代の日中国交回復以降で、当初は高級中華料理店でしか扱われていませんでした。1995年頃から工場での水耕栽培が始まると、天候に左右されずに年間を通して安定供給され、リーズナブルな野菜として一般に広まりました。

軸がピンとしてみずみずしく、葉の色が濃くしっかり開いているもの、長さがそろっているものが良品です。切り落として販売しているものもあるようですが、傷みやすく栄養素が流れ出てしまうので、根の部分に培地がついているものを求めましょう。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
豆苗は豆と緑黄色野菜の栄養素を合わせ持つ野菜です。種(豆)にはない、または微量な成分が発芽するときに作られるため、ゆでた赤エンドウと比較するとβカロテンが443倍、ビタミンCが43倍、ビタミンKが30倍、葉酸が24倍含まれています。

<赤エンドウ(ゆで)と豆苗の栄養素比較>
βカロテン=赤エンドウ(ゆで)7μg、豆苗3100μg
ビタミンC=微量、43mg
ビタミンK=7μg、210μg
葉酸=5μg、120μg
ビタミンB2=0.06mg、0.21mg
ビタミンB6=微量、0.15mg
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)より

豆苗はβカロテン、ビタミンB群、ビタミンK、ビタミンCが豊富で、タンパク質も比較的多く含まれます。βカロテンとビタミンCは皮膚や粘膜の健康維持を助け、抗酸化作用があります。ビタミンB1、B2、B6はエネルギー産生と皮膚と粘膜の健康維持に役立ち、葉酸は赤血球の形成を助けます。ビタミンKは血液凝固と骨代謝に関わっています。

切ったところから栄養素は流出してしまうので、洗ってから根を切り離した方が栄養素の損失は少なくすみます。生で食べる場合は、油脂を含むドレッシングを使用したり、油で炒めたりするとβカロテンやビタミンKの吸収が良くなります。

期待される健康効果は、風邪予防、美肌効果、ガン予防、生活習慣病予防、貧血予防、骨粗鬆症予防などです。

保存するなら
すぐに食べられない場合はパックのまま、または根の部分についている培地ごとポリ袋に入れ、野菜室で立てて保存します。成長するので早めに使いましょう。

豆苗は再生力が強いので、根を水につけておくと再生栽培ができます。根元に脇芽が2つあるので、その上で切りましょう。芽が伸びて7~10日で収穫できます。水は毎日換え、日当りの良い室内に置きます。収穫は2回まで可能ですが、温度や湿度により豆にカビが生えたり、藻が発生したりと衛生面で問題が生じやすい上、含有栄養素は減りますので再生栽培は1回がおすすめです。

【管理栄養士・高木小雪】