<栄養素を無駄なく摂る食べ方:ハーブ編>

イタリアンパセリは、地中海原産といわれるセリ科の2年草です。日本でパセリというと葉が縮れたモスカールドパセリ(カーリーパセリ)がおなじみですが、ヨーロッパでは葉が平たいイタリアンパセリが一般的です。モスカールドパセリは、そのままではごわごわして食べにくさがありますが、イタリアンパセリは葉や茎がやわらかいので食べやすく、香りは強いですが苦味は少ないため、料理に使いやすくたくさん摂取できます。

パセリの歴史は古く、古代ギリシャでは主に薬や香料として使われていました。ローマ時代には食用としても使われるようになり、ヨーロッパ各地に広がりました。

イタリアンパセリはこの原種に近く、モスカールドパセリは後からできた品種です。イタリアンパセリが日本で見られるようになったのは最近のことで、イタリア料理がブームになったことがきっかけのようです。

葉が鮮やかな緑色でハリがあり、茎がピンとしてみずみずしいものを選びましょう。鮮度が落ちると葉が黄色くなります。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
イタリアンパセリは、日本では最近食べられるようになったため食品成分表には載っていません。モスカールドパセリには、βカロテン、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB群、ビタミンC、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅などのビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。イタリアンパセリも同等の栄養価があると考えられます。

注目されるのはファイトケミカル(フィトケミカル)です。ファイトケミカルは、植物が持つ自分自身を守る力で、強い抗酸化力があります。パセリに共通の香気成分、色素成分であるクロロフィルやフラボノイドには、抗炎症、殺菌、鎮静、食欲増進、消化促進、利尿、解毒などの作用があります。

クロロフィルはアルカリ性で鮮緑色、酸性で緑褐色になります。調味料などはほとんどが酸性ですので、長時間調理すると色が悪くなります。香気成分は揮発性で、水溶性の成分も多くあります。調理は短時間にするか、生食の方が多く摂取できます。

乾燥ハーブのビタミンCを比較する研究では、イタリアンパセリが最も多く335mg/100gで、比較のために測定した緑茶の170mg/100gをはるかに上回っていたという結果が出たそうです。イタリアンパセリのビタミンCは分解されにくいことが分かりました。

期待される健康効果は、風邪予防、ガン予防、消化促進、食中毒予防、貧血予防、疲労回復、美肌効果、骨粗鬆症予防、生活習慣病予防、解毒、口臭予防、腎機能調整、アンチエイジング、精神安定などです。

保存するなら
イタリアンパセリはあまり日持ちしません。香気成分は揮発性で、日が経つにつれ減っていきます。保存する場合は新聞紙に包んでからポリ袋に入れ、野菜室に立てて保存します。水で湿らせたキッチンペーパーを根元に当てておくと鮮度が保てます。2~3日で使いましょう。

香りや食感は劣りますが、冷凍保存も可能です。洗って水けをきり、使用するときの大きさに切って保存袋に入れて冷凍します。使う分ずつ小分けするか、カチカチに凍る前に保存袋に入れたままバラバラにしておくと使うときに便利です。解凍するとドリップと一緒に栄養素が流れ出てしまうので、凍ったまま加熱すると良いです。1カ月ほどで使いましょう。

イタリアンパセリのビタミンCは乾燥に強いため、ドライもおすすめです。ドライを作る場合はザルに並べて1~2日干すか、電子レンジを利用します。電子レンジでは焦げることがあるので、数十秒ずつ様子を見ながら行ってください。パリパリになったら袋に入れて揉むと細かくなります。密閉できる瓶や缶に入れ保存します。乾燥剤を入れておくと良いでしょう。

【管理栄養士・高木小雪】