<栄養素を無駄なく摂る食べ方:野菜編>

ツルムラサキは、熱帯アジア原産と言われるツルムラサキ科の一年または二年草です。2000年以上前から食用にされていたそうで、中国料理やエスニック料理にはよく使われています。インドでは薬草としても使われてきました。

沖縄では地紅(ジービン/ジュビン)と呼ばれる島野菜の一つです。日本にいつ入ってきたかは不明ですが、平安時代の書物にツルムラサキの中国名「落葵(ルオクイ)」を中国の葵という意味で「唐葵(カラアオイ)」とした記述がみられます。「ツルムラサキ」の名前が見られるのは江戸時代からです。

流通しているもののほとんどは茎が緑色の「青(緑)茎種」で、紫ではありませんが、原種はその名の通りつるが赤紫色をしている「赤茎種」です。国交回復を機に中国野菜のブームが起こった際、ツルムラサキも注目され広まりました。葉物の少ない夏場に旬を迎えるため、ホウレン草に代わる野菜として期待されたそうです。

茎が太く、葉がしっかりと付いて色が濃く、厚みのあるものが良品です。切り口がみずみずしいものを選びましょう。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
ツルムラサキはβカロテン、ビタミンK、ビタミンC、葉酸、カルシウム、マグネシウム、鉄などを多く含んでいます。切ると断面から出てくるぬめり成分には、粘膜の保護、タンパク質の吸収を助けるといった働きがあり、疲労回復が期待できます。

独特の香りがありますが、油脂と一緒に調理すると気になりません。ビタミンCなど加熱によって壊れる栄養素もあるので、調理は短時間にしましょう。

ゆでる場合は茎と葉を分け、茎を先に入れて、ゆで上がる少し前に葉を入れます。湯に少量の油を入れておくとつやつやに仕上がり、水溶性栄養素の損失が抑えられ、脂溶性栄養素の吸収が良くなります。

期待される健康効果は、風邪予防、ガン予防、生活習慣病予防、骨粗しょう症予防、貧血予防、免疫力向上、疲労回復、美肌効果などです。

保存するなら
乾燥に弱いので、新聞紙に包んでからポリ袋に入れ、野菜室で立てて保存します。切り口から栄養素が逃げてしまうので、できるだけ早めに使いましょう。

冷凍する場合は、かためにゆでて水けをきり、保存用袋に入れて冷凍します。利用する際は冷蔵庫で解凍し、お浸しやゴマあえ、炒め物などホウレン草のように使えます。1カ月ほどで使いましょう。

【管理栄養士・高木小雪】