<栄養素を無駄なく摂る食べ方:果物編>
ブドウは中近東原産と言われるブドウ科の果実で、紀元前4000年頃にはすでに栽培されていました。山ブドウは日本でも自生していましたが、奈良時代にシルクロードを経て伝わったようです。高温多湿の日本では栽培が難しく、甲州ブドウ以外は根付きませんでした。本格的に全国で栽培が始まったのは明治政府がブドウ栽培・ワイン醸造を奨励してからです。
ブドウは世界でとても多く作られている果実で、そのほとんどがワイン用ですが、日本では9割が生食用です。品種は1万種以上あると言われています。果皮の色によって「赤系」「黒系」「緑系」に分けられます。成長するにつれ果皮の色素が作られるため、未熟なうちは共通して緑色です。緑系のブドウは色素がつくられないため緑色のままです。
黒系は「巨峰」や、巨峰の改良種である「ピオーネ」などが有名です。最近は種なしのものも出回るようになりました。
赤系は「デラウェア」や「甲斐路」「安芸クイーン」などが有名です。山梨県が原産の「甲州」は約800年以上前から栽培され、ワインの原料としても利用されています。赤系のブドウは栽培が難しく、ムラのないきれいな赤色を作るのは高い技術が必要とされています。黒系、赤系ともに、近年は温暖化の影響で着色不良が問題になっているそうです。
緑系は、ブドウの女王とも称される「マスカット・オブ・アレキサンドリア」や「シャインマスカット」などが有名です。透明感のある美しい色合いとともに、強い甘みとさわやかな香りが特徴で、贈答用として人気があります。マスカットの名は、じゃ香(musk)の香りがするところからつけられたと言われます。実はしまって日持ちが良く、皮が薄いので皮ごと食べられるものが多いです。
黒系、赤系はむらなく全体が濃く色づき、粒が均等に隙間なく付き、プリッとしたみずみずしさが感じられるもので、軸が太くて緑色のものが新鮮です。軸が茶色いもの、粒が房から取れているものは鮮度が落ちています。
果皮に白い粉(ブルーム)が付いているものが新鮮です。ブルームは水分の蒸発を防ぐなどの働きがあり、収穫して数日で見えなくなります。
ブドウは追熟しません。食べ頃に店頭に並ぶので、購入したら早めに食べましょう。房の上側(軸の方)から成熟が進むため、上側の方が甘みが強いです。