<栄養素を無駄なく摂る食べ方:種実編>
ゴマはアフリカ原産と言われるゴマ科の種子です。歴史は6000年以上にもなると言われます。成長が早く生命力が強く、荒れ地でも栽培ができて少々の日照りにも負けません。日本には縄文時代に伝わったようです。
白ゴマ、黒ゴマ、金ゴマとありますが、栄養成分は量の多少はあるもののほぼ同じです。白ゴマは黒ゴマより脂質が多く、ゴマ油の原料としても使われています。黒ゴマは種皮の割合が多く、その分ミネラルも多いのでかためです。金ゴマはコクがあって香りが高く、ほかと比べて高級です。
ゴマを圧搾したものがゴマ油です。ビタミン、ミネラルを多く含み、酸化しにくい特徴があります。一般に焙煎してから搾油するため、独特の香りがあります。焙煎せずに生のまま搾ったものは淡い色で香りが少なく、高級揚げ油などに使われています。
◆主な栄養素と無駄なく摂るコツ
ゴマは半分以上が脂質で、タンパク質、ビタミンB群、ビタミンE、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、食物繊維などが多く含まれています。黒ゴマの種皮にはアントシアニンが、金ゴマの種皮にはフラボノイドが含まれ、いずれも抗酸化作用があります。
注目成分はゴマリグナンです。リグナンは強い抗酸化作用、抗炎症作用を持つポリフェノールの一種で、ゴマ特有の成分をゴマリグナンと言います。セサミン、セサミノール、エピセサミンなどがこれに含まれます。ゴマリグナンには肝機能改善、活性酸素除去、脂質代謝促進、血中コレステロールや中性脂肪の低下、女性ホルモン様作用など、多くの作用があります。
抗酸化力を持つビタミンEには数種類あります。ゴマに含まれるビタミンEは抗酸化力があまり強くありませんが、ゴマリグナンはビタミンEの活性を増強する作用があります。ゴマ油が酸化しにくいのは、ゴマリグナンのおかげです。
加熱するとより抗酸化力がアップします。香りもよくなるので、炒ってから使うのがおすすめです。かたい種皮に覆われて消化しにくいため、包丁で叩いたり、すり鉢ですったり、練りゴマにして栄養素の吸収を高めましょう。種皮に傷がつくと酸化しやすくなるので、食べる分だけ調理します。
漢方ではゴマやゴマ油を生薬として滋養強壮や貧血などに用い、白髪の予防や母乳の分泌を良くするとされています。アーユルヴェーダ(インドの伝統医学)では歯を丈夫にし、口内炎、鼻炎、顔の老化に有効としています。また、クレオパトラがボディオイルとしてゴマ油を愛用していたことが知られています。
期待される健康効果は、滋養強壮、風邪予防、ガン予防、骨粗鬆症予防、貧血予防、生活習慣病予防、血行促進、アンチエイジング、便秘予防などです。
◆保存するなら
なるべく空気に触れないように密閉して保存します。冷蔵保存も可能ですが、冷蔵庫から出したときに結露しないように注意しましょう。湿気た場合は炒り直すと良いです。
【管理栄養士・高木小雪】