<栄養素を無駄なく摂る食べ方:野菜編>

ユリ根は中国原産と言われるユリ科草花のりん茎(球根)です。ユリは東アジアやヨーロッパ、北アメリカなどに広く自生しています。100種以上ありますがほとんどは観賞用で、食べられるものは限られています。

日本にも古くから自生していましたが、食用にしていたかどうかは不明です。江戸時代になると、食用にされていた記述が見られます。

やさしい甘味とほろ苦さがあり、ホクホクとした食感が特徴です。収穫してすぐよりも、貯蔵した方がでんぷんが糖に分解され、甘くおいしくなります。

正月料理や京懐石、和菓子などによく使われます。正月料理では、りん茎が花びらのように重なり合っていることから「歳を重ねる」「仲が良い」「子孫繁栄」などの意味で、また薬効に優れていることから「無病息災」を祈って用いられます。

ユリ根はデリケートで、傷が付くと変色するので、多くがおがくずの中に入れて販売されています。

バラバラになっているものより、丸のままおがくずに入ったものの方が鮮度が保てます。おがくずの中に入っている場合は確かめられませんが、ふっくらとした形で色が白く、りん片が大きくしっかり重なり、かたく締まっているものを選びましょう。紫がかったものは苦味が強い傾向にあります。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
ユリ根は炭水化物、葉酸、カリウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、食物繊維などが豊富に含まれています。

ミネラルはタンパク質と一緒に摂ると吸収率が上がります。卵との相性が良いので、卵とじ、茶碗蒸しなどはおすすめの食べ方です。

ユリ根に含まれる成分には、リンパ細胞の転化率を高めることによって、体液の免疫力を高めるものがあります。結核菌などを消滅させることや、ガン抑制作用があることも分かってきました。

生薬名を「百合(びゃくごう)」と言い、滋養強壮、利尿、鎮咳、鎮静などに使われます。

期待される健康効果は、滋養強壮、風邪予防、疲労回復、ガン予防、生活習慣病予防、整腸作用、精神安定、むくみ改善などです。

保存するなら
おがくずごと野菜室で保存し、保存状態が良ければ1カ月ほど持ちます。おがくずがない場合はキッチンペーパーなどに包んでからポリ袋に入れて保存します。なるべく早く使いましょう。

りん片をばらしてある場合は、かためにゆでるか蒸して、保存袋に入れて冷凍します。使うときは凍ったまま調理しましょう。

【管理栄養士・高木小雪】