新人戦や秋季大会という大きな大会が終わり、いよいよ体作りのためのトレーニング期へ突入といったチームが多いのではないかと思います。この時期は、「増量」や「体作り」をテーマに栄養セミナーを依頼されることも多くなります。
中学生チームも高校野球ほどはっきりと期分けがあるわけではありませんが、やはり秋から冬にかけてを「体作りの時期」と位置づけ、専門家の話を聞きたい! 学びたい! という指導者や保護者の方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、体作りには欠かせない栄養素「タンパク質」について考えていきたいと思います。
成長期は意識的に摂取が必要
通常、私たちが生活の中で使うエネルギー源は、糖質と脂質がほとんど。運動する場合、強度が高くなったり、時間が長くなったりすると、体内のタンパク質も分解してエネルギーにします。
つまり、成長期に必要なタンパク質に加え、運動強度が高くなる「トレーニング期」には、意識的にタンパク質を補う必要があります。
1日におけるタンパク質適正量
では、どれぐらいの量を摂ったらいいのでしょうか?
<1日における身体活動別体重1㎏あたりのタンパク質摂取量>
筋トレや高強度のトレーニング日 体重1㎏あたり1.6~1.7g
※体重60㎏の選手の場合 60㎏×1.7g=102g
過剰摂取については明確なエビデンスがなく、日本人の食事摂取基準(2015年版)では過剰摂取による健康障害の明確な根拠はないとして、数値では表さず、適正量で示しています。さまざまな文献から考えると、体重1㎏あたり2g以上の摂取には注意が必要と理解できます。
例えば コンビニで売られている「サラダチキン」(約115g)には28gのタンパク質が含まれています。サラダチキンだけで考えた場合、体重60kgの選手の適正量は1日4個弱の量となり、選手が負担にならないような献立の工夫が必要となります。
高野豆腐の粉末、便利な「粉豆腐」
このサラダチキンの例のように、主菜だけでタンパク質摂取を考えるのではなく、主食のご飯に混ぜたり、汁物や副菜にもタンパク質の多い食材を使ったりして、全体的に摂取量を上げる工夫をしてみましょう。
今回紹介するのは「粉豆腐サラダ」です。
粉豆腐は、見た目はおからにも似ていますが、高野豆腐を粉末にしたものでタンパク質を多く含んでいます。
いつものポテトサラダに粉豆腐を加えるだけで、体作りに必要なタンパク質や鉄、カルシウムの摂取量がぐんと増えます。粉末ですので、大根おろしとあえて酢の物にしたり、ハンバーグに混ぜたりとバリエーションも楽しめますよ。