【回答】管理栄養士・中野ヤスコさん
製品のホームページによると、スパムの原材料は主に、豚肉、砂糖、塩、水、少量のジャガイモでんぷんです。フレッシュな発色を保つために、微量の亜硝酸ナトリウムが加えられています。
豚肉には良質なタンパク質のほか、糖質のエネルギー代謝に大きく関わるビタミンB1が豊富に含まれており、疲労回復効果が期待できます。ただし、肉の加工品は、微量であっても発色剤や豚脂を添加している場合が多いため、肉は素材のまま食べていただくのが理想です。肉加工品は、味もしっかりついていて食べやすいので、食欲がない時には上手に利用してください。
私は、実業団女子陸上部のアメリカへの高地トレーニング遠征に帯同する仕事をしてきました。ハードな練習後、食欲がでないと予想される時に、アボカドスパム丼(軽く炒めたスパムとアボカド、温泉卵、刻み海苔をご飯にのせ、照り焼き風のタレをかける)を提供すると、選手はよく食べてくれました。
ただ、加工品で気を付けて欲しい点もあります。食品添加物として使用されることが多い「リン酸塩」からのリンの過剰摂取です。リンはミネラルの1つで、体内のミネラルのうち、カルシウムの次に多く存在しています。体内のリンは、85%がカルシウムやマグネシウムとともに骨や歯をつくる成分になっていて、残りの15%は筋肉、脳、神経などの様々な組織に含まれ、エネルギーを作り出す時に必要な役割をしています。普通は不足することはありません。
食品添加物として使用されることが多いのは、ハムやソーセージの結着剤やプロセスチーズの乳化剤、pH調整剤、酸味料、製造用剤など。加工食品の食感や見た目、味を向上させる働きがあります。
国によって安全性が確認されたものだけが食品添加物として使用できるとして、食品衛生法で定められていますが、国立健康・栄養研究所のデータベースの「リン解説」を見ると、成長期のアスリートの多量摂取について以下のように書かれています。加工食品の取りすぎはリンの過剰摂取につながり、カルシウムの吸収を阻害するなどの健康影響があるので注意が必要です。