セミナーの講師をしていると、小学生の保護者から「サプリメント」について聞かれることがあります。意外と多い質問です。今は「成長のため」とうたうサプリメントが大変多くなっています。

基本的にジュニアであれば、食事で十分にまかなえるので、よほどの場合を除けばサプリメントは必要ありません。小さい頃から、色々な食材を知るという学習もしてほしいので、基本的に栄養は食事でとってもらいたいのです。

自分が食べているものは何なのか

中高生や専門学校生と接していると、食品、食材の知識がないと感じることが年々増えています。自分が食べているものが何なのか、分かることは非常に大切なことです。将来、トップアスリートになった時、「うっかりドーピング」の回避にもつながります。

そのために毎回の食事でこれは何肉? これは何の魚? この野菜は何? いつ採れるの? ということを1つ1つ学んでいくことが必要です。

どういう工程で作られているのか

また、どういう工程を経て、その食材ができるのかを知ることも大切です。それは子どもだけでなく、我々大人に対しても言えることです。

神奈川県の三浦市で食育セミナーをした際に、ヒジキをいただきました。海で揚がったものを干した状態でしたので、そのままでは食べられません。下処理が必要でした。

最初はこげ茶、ゆでると茎と芽に

さて、そこからヒジキの下処理をすることにしました。

ヒジキは最初、真っ黒ではなく、こげ茶色をしていました。それを大きな鍋に入れ、たっぷりのお湯で丸一日ゆでました。すると、茎と芽に分かれました。

茎の方が「長ヒジキ」。芽の方が「芽ヒジキ」。乾かすと、本当に市販されているのと同じ乾燥ヒジキになりました。

下処理前のヒジキ(左)とゆでて乾燥したヒジキ
下処理前のヒジキ(左)とゆでて乾燥したヒジキ

こんなに時間がかかるものなのか…。それが正直な感想でした。

でも、実際にやってみて工程を知ると、「乾物の値段が意外と高い理由は、こういうことからか」と納得できるのです。

食べ物は勝利に結び付くアイテム

アスリートにとって食べ物は、直接勝利に結びつく重要なアイテムだからこそ、たとえ時間がない中でも自分が食べているものを知る機会は、大切にしてもらいたいと思います。

何でも簡単、便利に食事が仕上がる時代ではありますが、作物を作ること、手のかかる体験は今後益々、多くの子どもたちに必要だと思います。

今日は「ヒジキと豆腐のす~ら~スープ」を紹介します。

昔と違って鉄釜でなく、ステンレス釜でゆでる関係で、ヒジキの鉄が以前と比べ少ない、と触れられることがありますが、それでも1回の使用量あたりで見れば、十分な鉄の供給源であるといえます。

鉄だけでなく、ヒジキや豆腐にはカルシウムも多いので、合わせてコツコツと摂りましょう。今回のスープは、缶詰のアサリを使っていますが、豚肉や鶏肉でも、もちろん大丈夫です。そうすると、鉄の吸収はさらに良くなりますよ。

管理栄養士・月野和美砂