スポーツ栄養のセミナーを選手に継続的に行っていくと、カラダ作り、特に増量が順調にいく選手といかない選手が出てきます。成長期は必要なエネルギー量が多いため、しっかり心がけていてもなかなか増量しない、ということはあるものです。

また、よい食習慣が定着するには時間がかかります。薬ではなく即効性がないため、今日、しっかり食べたからといって、明日ムキムキに筋肉がつくわけではありません。数カ月先を見て日々取り組まないといけないため、次第に食事改善のモチベーションが低下し、元の食事量や内容に戻ってしまうということも多いのです。

乳製品、果物をとる重要性

アスリートの基本の食事は「主食・主菜・副菜・乳製品・果物」をそろえることです。しかし、主食・主菜・副菜までは何とか形だけは維持できても、乳製品や果物が1つ、また1つ…と抜けていく傾向があります。

乳製品はタンパク質の中でも、筋肉を作る際に重要だとされる必須アミノ酸、ロイシンが含まれており、骨を丈夫にするカルシウムの供給源です。果物はビタミン類、水溶性、不溶性の食物繊維を含み、糖質(果糖)にエネルギーがあります。

食事から乳製品と果物が抜けるだけで、かなりエネルギー量が減るので、増量に影響することになります。数カ月先の自分の姿を思い描くことはなかなか難しいことですが、「カラダが変わる」ことを信じ、乳製品や果物も食事や補食で、毎日積極的にとりましょう。その努力は必ず報われるはずです。

今回は、乳製品と果物が一気にとれる「巨峰ミルクドリンク」を紹介します。

私の合宿所のある山梨県は全国一のブドウの産地です。時期によって採れる種類が変わりますが、10月半ばまでブドウ狩りが楽しめます。近年は、種なしや皮ごと食べられるブドウが増えてきたようにも思います。

このレシピはブドウを皮ごと使うので、皮に多い食物繊維を丸ごととることができます。ブドウの皮には便のかさを出す不溶性食物繊維、腸内細菌叢の改善に働く水溶性食物繊維があるので皮ごと使ったり、食べたりするのがおすすめです。

果物として食べるには量が少ないな、という時も牛乳と合わせてハンドブレンダーで混ぜれば、ちょっとしたドリンクになります(ミキサーを使えば、量が多くてもしっかり細かく皮が砕かれます)。最近の果物はどれも糖度が高いため、砂糖などを加えなくてもブドウのもつ甘さだけで十分です。

この時期のカラダ作りのために、補食やデザートとして「巨峰ミルクドリンク」をお試しください。

管理栄養士・月野和美砂