新年度が始まりました。4月は慌ただしくとも、新たな環境での生活に慣れていく時期です。学年が上がり、進学した子どもたちは、その年齢相応の自立ができていくことが大切です。

ダルビッシュ投手の言葉から

先日、日本中を歓喜の渦に巻き込んだWBCが終わりました。侍ジャパンを支え、3大会ぶりの優勝に貢献したダルビッシュ有投手(パドレス)は、「メジャーリーグを経験し、結婚や子育てを経て、自分の身の回りのサポートしてもらっているのは当たり前ではないと理解できる」と言ったそうです。

おそらくダルビッシュ投手は、結婚や子育てを通し、当たり前の生活を支える目に見えない多くの人の力や支援を垣間見たのでしょう。そこから人間的に大きな成長をしてきてきたのではないかと思います。「野球人である前に夫である」という言葉は、それを象徴しています。WBCは、ダルビッシュ投手の人間的な魅力も存分に発揮された大会でした。

「普通の生活」での学びが自立の一歩

ジュニア時代からスポーツに力を入れていると、身の回りのことを親に任せ、自分は競技に専念するだけになっていることがあります。日常生活の中には、先を読んだり、段取りを考えたり、面倒で些末なことが多々あり、それこそが生きる力を鍛えてくれるのですが、子ども時代にそういう経験をせず、「普通の生活」を学習していないと、「生活の自立」ができないまま大人になってしまうのです。

競技生活の中で「自立」は当然求められるものであり、自立できていない人は選手としても伸びていきません。子どもが家庭の中で経験するであろう生活体験を、できるだけ子ども自身にさせることが大切ではないでしょうか。

ひとりで起きる、自分で着替えを準備する、食事の支度、片付け、料理をする、ゴミを分別して捨てる、家族の衣類も含め洗濯する、乾いた衣類をたたむ・しまう、生活に必要な買い物に気付く、予定を見て行動を決める、電車やバスにひとりで乗る等々…。「まだできないのでは…」と保護者がブレーキをかけず、家庭での生活経験をどんどんさせていきましょう。

過保護にならず、子どもの成長を見守る

一方で、子どもは親離れできているのに、保護者の方が子離れできていないと感じるケースもあります。小学校から中学校、中学校から高校へと進学したら、子どもとの関わりも段階を追って変化させましょう。「アスリートである前に人間」として自立させるように…。

さて、今回は「セリと鶏肉の炊き込みご飯」を紹介します。

セリは真冬のものだと思われがちですが、実際は2月から4月が旬の野菜で、宮城県と茨城県が主たる産地です。緑黄色野菜でもありβカロテンが多く、必要に応じて体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を正常に保ったり、免疫力を維持したりするのに役立ちます。

鶏肉は高タンパクな食材なので、主菜としてはもちろん、今回のように炊き込みご飯として使えば、主食でもタンパク質がとれます。

今回のレシピは炊き込む材料をあらかじめ煮ることはせず、直接入れて炊き込むので作り方はシンプルです。キッチンに立つ体験を重ねれば、生活の中で気付くことも増えていきます。保護者は、そんな子どもの成長を見守るようにしていきましょう。

管理栄養士・月野和美砂