私が指導する女子中学生のクラブチームでは、八ヶ岳にある私の合宿所で宿泊するときは保護者に送迎してもらっています。そのため保護者も選手と同じ時に、選手と同じ内容の食事を食べていただくことになります。

最近は保護者から、提供したメニューの作り方を聞かれることも増えてきました。

当合宿所では野菜を多く出しています。場所柄、高原野菜が豊富でおいしいことが理由ですが、そのままだと野菜を食べない子もいるので、食べてくれそうな料理にしています。使っている調味料、よりおいしくするために気を付けていることなどを保護者にお伝えすると、食後の「大人の時間」も非常に盛り上がり、楽しいひとときとなります。

「合宿のは食べられる」「知らずに食べていた」

先日の合宿のことです。食後の片付けで食器拭きをしていた選手が「7月の合宿で出たナスで、ナス嫌いを克服しました」と言うと、「そういえば、○○ちゃんは家のは食べられないけど、合宿のなら食べられる、と言ってました」とその場にいない選手のことも付け加え、教えてくれました。また、夕食に出した「主菜のつくねにはエノキタケを入れていた」と説明したところ、キノコ嫌いの選手が「知らないうちに食べていた!」と目を丸くして驚いており、笑いに包まれる場面もありました。

このような 「嫌いな食べ物克服ばなし」を聞くと素直にうれしく感じますが、子どもの好き嫌いをなくすのは、なかなか大変です。味ももちろんそうですが、食べられるようになるきっかけはむしろ、家庭ではない場所、いつもとは違う人が作る料理、家族とは違う仲間たちと食べる環境、いつもよりおなかが空いていた…といったように「いつもと違う」何かだと、私は見ています。

「いつもと違う」を保護者も活用して

そういうきっかけとなる「合宿」は貴重な機会です。選手だけでなく、送迎のため同行してくれた保護者にも有意義に活用して欲しいと思っています。

滞在中、保護者には近隣の農産物直売所や道の駅などに足を伸ばすよう、積極的に促しています。見慣れない食材に触れることも勉強になりますし、帰り際に新鮮な野菜を購入して、家族で食べて欲しいと思っています。成長期の子どもの食事は、保護者の協力なしには整えられません。短時間ではありますが、保護者自身も八ヶ岳でリフレッシュして、また日々の食事作りを取り組んでいただけたらいいなと思っています。

今回はタンパク質とビタミンDや葉酸もとれる「マイタケと卵のめんつゆポン酢炒め」を紹介します。キノコ嫌いを克服したらぜひ食べて欲しいメニューです。

2人分でマイタケを1パック(約130g)と卵を2個使います。卵は半熟程度にするのがおいしさのポイントで、チーズが好きならちょい足しではなく、たっぷり使っても良いでしょう。

マイタケは、骨の材料となるカルシウムやリンなどの吸収を促すビタミンDが豊富です。ビタミンDは野菜や豆などには含まれず、植物性の食品ではキノコ類だけが供給源となります。またキノコ類には、ビタミンB12とともに赤血球を作るのに必要な葉酸も含まれているため、積極的に摂りたい栄養素です。

管理栄養士・月野和美砂