私が指導する女子中学生バレーボールクラブでは、今年も夏休みに「朝食作り」の課題を出しました。

なぜ朝食かというと小学生、中学生の中で一定数、欠食する生徒がいるからです。児童生徒の朝食欠食は近年、横ばいになっているものの、小学生(6年生)は4.6%、中学生(3年生)は6.9%と一定数を占めています(農水省「食に関する子どもの基本的な生活習慣の状況」より)。また、欠食の理由として割合としては少ないものの「痩せたいから食べない」があります。

朝食をとる意味とメリット

朝に、主食・主菜・副菜がある食事を摂ることで体温を上げ、頭や体を目覚めさせ、長時間にわたり集中力が継続、排便習慣がつきます。良質なタンパク質をとることで夜の入眠がよくなり、1日3食に分けてタンパク質を摂ると効率よく体作りができます。

そんなレクチャーをした後に、実際に自分で「アスリートの朝食」を作るのです。主食・主菜・副菜・汁物・乳製品・果物を揃えます。

保護者の手を借りず、準備から後片付けまで全部ひとりでやることが条件です。コロナ禍にやった時も子どもたちは大きな気付きを得ましたが、今回も保護者には手を貸さないようお願いしています。

選手たちは何を意識してどんな朝食を作ったのか、作ってみて何を思ったのかを私に画像とともに送ってきます。その中で、ある選手のコメントと画像を紹介します。

ある選手の朝食例

ある選手の朝食
ある選手の朝食

主食=ご飯(160g)
主菜=塩鮭甘口、ゆで卵
副菜=サラダ(サニーレタス、ブロッコリー、トマト、ささみ)
副菜(汁物)=豆腐とワカメのみそ汁
乳製品=牛乳、ヨーグルト
果物=オレンジ、ブルーベリー

作った際意識した点
・私は朝すごくおなかが空くので、筋肉を作るうえ、腹持ちがいいタンパク質を多く入れることを意識した。
・サラダにトマトを入れ、彩りを意識した。
・卵を使おうと思ったとき、調理の際油を使わないゆで卵を選んだ。
・無糖ヨーグルトをそのままで食べるのはあまり得意ではないのでブルーベリーをのせ、一緒に食べた。
・自分で魚をグリルで焼いたことがなかったのでやってみた。その際、身が大きかったので焦げないよう弱火でじっくり調理した。思いのほか簡単だった。

作ってみた感想
・朝学校に行くだけでお腹がすいてしまうのが悩みだったけれど、サラダに多くの種類の食材を入れたり、みそ汁を具だくさんにしたりと少しの工夫で満腹にすることができた。
・朝ご飯を作るのに時間が多くかかり、洗い物が大変なことを身にしみて感じた。そのため、いつも作ってくれている母に感謝し、夜作っておいたり、朝少し早く起きて準備を手伝ったり、自分にできることを探そうと思う。
・バランスの良い食事を心がけるにはその食材にどんな栄養があるのか、どのような調理が向いているか知識を持つ必要があるので、日常的にその食材について考えバランスを心がけていきたい。

実際、自分で作ったからこそ分かったことがたくさん書かれています。朝食を自分で作るだけで、これだけの気付きを得られます。毎日子どものために食事を用意している保護者の方も、たまには手を出さずに子どもに考えさせ、任せてみるのはどうでしょうか。

選手たちが作った朝食をスライドにしたものの一部。○で囲っているのは主菜
選手たちが作った朝食をスライドにしたものの一部。○で囲っているのは主菜

今回は「梨の白あえ」を紹介します。

日本梨の旬は7月頃から11月頃まで。9月頃が出荷の最盛期です。栃木県、続いて茨城県、千葉県が多く作られている地域です(※)。

白あえは和食の料理の「あえ物」で、材料に豆腐を使うので白くなります。今回の「梨の白あえ」では、水きりした豆腐にゴマを入れることで栄養的にはタンパク質、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、ビタミンB1、ビタミンB6などが含まれて脂質は控えめ。高タンパク低脂肪を基本としたいアスリートに適した料理と言えます。

今回はボウルで作るようにしていますが、ご家庭にすり鉢・すりこぎがあるようならそれを使って作るとより口当たりが滑らかになります。

食べることは将来、競技と離れたとしても一生続きます。自分の体調に合わせた食事を準備することができるようにともに協力して子どもたちを育てていきましょう。

<関連コラム>

※=日本梨の旬 出回り時期(https://www.kudamononavi.com/calendar/kudaindivi/cal=903

管理栄養士・月野和美砂