こんにちは! 鹿児島の長島です。暑かった8月が終わり、あっという間に9月。心なしか涼しい日が増えてきましたね。
さて、今回は地域の伝統食はアスリートにもいいよ、というお話です。
飲み始めたら風邪ひかなくなった
私は大学院時代、鹿児島の黒酢がアスリートや一般の方の健康にどのように影響するかを研究していました。きっかけは、鹿屋体育大学の自転車競技部が黒酢を飲み始めたら風邪をひかなくなったからでした。
アスリートは身体が強いと思われがちですが、実は高強度のトレーニング後には免疫力が極端に低下し、感染症などを起こしやすいと言われています。実際に黒酢摂取前は、合宿期間中7割の選手が何かしらの体調不良を訴えていましたが、摂取後は3割に減少しました。
その理由を探るべく、黒酢摂取群と非摂取群に分け、合宿期間中の血液性状の変化について検討しました。黒酢を飲む、飲まないで大きな変化があった部分は免疫力の指標であるNK細胞活性でした。合宿期間中なので、両群ともに免疫力は落ちるのですが、黒酢を飲んだ方がその落ち幅が小さかったのです。
なぜ免疫力が落ちなかったのか
では、なぜ免疫力が落ちなかったのか、ということで次は、黒酢の抗酸化力に着目しました。
抗酸化力とは「酸化を防ぐ力」です。酸素は身体にとってなくてはならないものですが、ありすぎても良くないものです。運動時は身体に取り込まれる酸素は通常時よりも多いため、酸化ストレスが増えると考えられます。実は、トレーニングを続けていれば、抗酸化力は高まるのですが、高強度トレーニングが続くと、抗酸化力は低下します。そのために、食品の力を使うのは重要な視点ではないかと思います。
科学は後付けのことが多い
この研究の始まりは現場での事例でしたが、「何かいいんだよね」と伝統的に使われているものを調べると、科学的にも良かったという例は、他にもあるのではないかと思います。科学は後付けのことが多いのです。
黒酢にはアミノ酸、オリゴ糖など様々な成分が含まれており、黒酢の何がいいのかは、まだ明確ではありませんが、色々入っていることこそが食品の良さではないかとも思います。黒酢に限らず、これまで日本で、地域で長く食べられているもの。そういったものに目を向けることも、大切ではないかと思います。
今回は、その黒酢を使った「鶏手羽元の黒酢煮」を紹介します。