地元でとれたものを地元で食べる「地産地消」。生産者の顔が見えて安心・安全であり、新鮮であることが魅力的です。

私のいる鹿児島県は食の宝庫であり、畜産・水産・農産と幅広く様々な食材があります。特産品と言われない食材でも、少し田畑のある地域に行けば野菜が無人販売されていたり、物産館やスーパーでも地元産の農産物コーナーが設置・販売されたりしています。

また、一年の中で季節折々の伝統行事や特別な時に食べる「行事食」も地域に根付いた文化があり、その土地でとれる食材が使用されていることも多くあります。お正月のお雑煮も各地域で食べられる行事食ですが、鹿児島県では薩摩藩主の島津家が「えび雑煮」を食べていたことから、えびの出汁を使用したお雑煮を食べます。その他、使用する食材には、餅、かまぼこ、干しシイタケ、サトイモ、豆モヤシ、春菊等が郷土料理として記述されていますが、家庭ごとに少しずつ異なっているのも面白いですね。

安心安全、新鮮で栄養価も高い

夏にできる食材(トマトやキュウリなど)は水分が多く、身体を冷やすはたらきが、逆に冬にできる食材(ニンジン、タマネギ、ゴボウなど)には身体を中から温める効果があります。行事食には、滋養強壮や無病息災などの意味が込められている料理も多くあります。

現在は季節に限らず、どの時期でも、どんな地域のものでも、安価に、便利に、購入できるようになりました。その結果、旬を感じること、日々の忙しさから行事食に触れる機会が減っているかもしれません。

共働き家庭の増加をはじめとした生活様式の変化やそれによる家事時間の減少、またスポーツクラブや塾への送り迎えなどで簡便な調理になってしまいがちですが、収穫して時間がたっていない野菜は栄養の損失も少なく、季節の食材はその時期の身体にとってうれしいはたらきもあります。ぜひ地産地消コーナーで旬の食材を購入して、行事食も積極的に取り入れてみましょう。

食卓での話題に取り上げ興味を広げる

行事食については少し意味を調べて、食卓での話題に取り上げると、子どもにとっては「体験」となり、そこから食に対する「なぜ」を知る機会や「食べてみよう」という行動につながります。それが結果的に成長期の体づくりにつながり、「食育」になるのです。

今日1月7日は「人日(じんじつ)」。年が明けてから初めて訪れる節句の日で、「七草がゆ」を食べる風習があります。ぜひこの意味を親子で一緒に確認して、「家庭食育day」にしてみてはいかがでしょうか。

今回紹介するのは「ツナと野菜の混ぜ寿司」です。鹿児島県甑島(こしきしま)の伝統食「すす」をレシピ化したもので、魚のほぐし身が「うま味=だし」として使われるのが特徴です。

魚と野菜を細かくして味付けした具を白ご飯に混ぜる、混ぜ寿司です。現地では酢を入れずに食べますが、お好みで甘酢を足してもおいしく食べられます。具はたくさん作って冷凍しておくと、補食のおにぎりや忙しい日の1品としても活躍します。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・田畑綾美