コロナ禍に始まり、ドーピング、用具の規定違反による失格など、様々な物議を醸した冬季オリンピック。「健全なる精神は健全なる身体に宿る」と言われ、強い肉体・精神力を持つアスリートはその最たるものと思われがちですが、国や政治も絡み、周囲や自身も結果を求めるあまり、心身共に健全とは言い難い状況に置かれている選手も、実は多いのではないかと感じました。食べることは心技体全てに影響を及ぼす要素です。しっかり食べて健康でスポーツに親しみたいですね。

カーリングのもぐもぐタイムでも

さて、カーリングの選手が試合間に、補食としてイチゴやパイナップルなどの果物を食べる姿を報道で見かけることがあると思います。オリンピックのような大舞台、さらに慣れない海外での長期滞在は、身体にとって大きな負担です。

身体にストレスがかかると大量のビタミンCが消費されます。フレッシュな果物は不足しがちなビタミンを補給し、さわやかな酸味と甘みで気持ちを落ち着かせるのにぴったりです。

九州地方には柑橘類がたくさん

冬が旬の果物というと真っ先に思い浮かぶのはミカンでしょうか? 私の住む九州地方は地域的に柑橘類の生産や消費がともに盛んです。鹿児島の桜島小みかんや屋久島たんかん、宮崎の日向夏(ヒュウガナツ)や金柑(キンカン)、熊本の晩白柚(バンペイユ)やデコポン、大分のかぼすなど地域ごとに異なる品種が栽培され、特産品となっています。

柑橘類は酸味があり、ビタミンCやクエン酸を豊富に含むのが特徴です。また柑橘類の香りにはリラックス、リフレッシュ効果があり、疲れを癒し気持ちを切り替えたいときにも有効です。

果物を複数組み合わせて1日200g程度

ビタミンCは水溶性で余剰分は尿中に排泄されてしまうため、毎日コンスタントに摂ることが大切です。厚生労働省は「1日に果物を200g程度摂取することが望ましい」としていますが、日本人の平均摂取量は半分程度の100gに留まっています。激しいトレーニングでビタミンCを消費しやすいアスリートはより意識して摂りたいですね。果物の種類によっても含まれる栄養素が変わるため、2種類程度組み合わせられると理想です。

果物100gの目安量
・ミカン=1個
・リンゴ=1/2個
・イチゴ=6粒
・バナナ=1本
・キウイフルーツ=1個
・柿=1個
(これらを1日2個摂取することが推奨される)

今回のレシピは、お正月料理としても親しまれている「キンカンの甘露煮」です。火を通すことで長期保存が効き、お酢を加えることでより疲労回復効果も見込めます。

そのまま食べてもおいしいですが、私のおすすめはヨーグルトのトッピングです。シロップをお湯や炭酸で割るとさわやかなビネガードリンクにもなりますよ。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・川口郁子