連日の猛暑で夜も寝苦しい日々が続いています。昨年までは夜はエアコンにタイマーをかけていたのですが、今年は朝までつけっぱなしで寝る日が続いています。電気代や節電も気になるところではありますが、質の良い睡眠をとって体に疲労を残さないためにも快適な睡眠環境を意識したいですね。

今回は「唾液のチカラ」についてお話しします。

消化吸収を助けるなど唾液の役割

ヒトの消化管は口から肛門まで1本の管でつながっていて、口は体の外のものを受け入れる入り口です。唾液は唾液腺(耳の下やあごの下にある)から1日に1~1.5リットルも分泌される消化液の一種であり、様々な役割を持ちます。

アミラーゼ(消化酵素)によってデンプンを麦芽糖に分解し消化吸収を助ける
食べ物のカスや細菌を洗い流して口の中を清潔に保ち、粘膜を保護する
歯のエナメル質の再石灰化を促し、虫歯を予防する
傷ついた組織の修復を助ける(昔から「傷口につばをつけると治る」と言われるゆえん)

唾液の分泌が減ると多くのトラブルに

しかし、ストレスや女性ホルモンの減少など、様々な要因で唾液の分泌量が減ることがあります。唾液が減ると口の中が乾燥した状態(ドライマウス)になり、数々のトラブルを引き起こしますが、特に気をつけたいのが感染症にかかりやすくなるという点です。

口から入ったウイルスや細菌は唾液によって洗い流され殺菌されますが、唾液の分泌が不十分だと粘膜への感染を引き起こす要因となります。コロナ禍のマスク生活によって自然と口呼吸になり、ドライマウスの人が増えているという指摘もあります。

「噛むこと」で唾液の分泌を促進

唾液の分泌を促すために手っ取り早いのは、よく噛むことです。噛むことで唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促されます。

また、梅干しや柑橘類、酢などの酸味のある食材も唾液の分泌を促す作用があります。手で耳の下やあごの下など唾液腺の集まっている部分を優しくマッサージすることも有効です。消化吸収を促し、感染症を予防するという観点からも、日頃から唾液がしっかり分泌されるように意識してみましょう。

今回のレシピは唾液の分泌を促す「酢」を使った「根菜ピクルス」です。歯ごたえのあるゴボウやレンコンを使うことで噛み応えがアップして、唾液の分泌をさらに促してくれますよ。食べ過ぎ防止や便秘予防にもおすすめですので、体重コントロールが必要な人は参考にしてみてください。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・川口郁子