<ラグビー流 Education(2)>

今回は高校ラグビーの名門・桐蔭学園(神奈川)を率いる藤原秀之監督(51)に、「世代別の指導ポイント」第1弾として、小学生を対象にした話をうかがいます。ラグビー指導以外にも通じる内容が含まれています。また、元日本代表の今泉清氏(52)は、前回紹介した「タグラグビー」について、ラグビーへの導入以上の効果や可能性の大きさを語っています。

遊びの中から学ばせる

普段は高校生を指導している藤原氏だが、夏休みにはラグビー部員とともに小学生らを対象としたラグビー教室にも携わった。そんな中、「スポーツは遊び」であり、子どもたちには「遊びの中から学ばせてあげるのが大事」という。

藤原 ルールがあれば、子どももその中でやる。ただ、それが自分たちでつくったルールなのか、大人がつくって与えたルールなのかで違う面があります。

自分たちでつくったルールなら遊びの延長。大人が上から目線で与えたルールだと、時に子どもは退屈がったりもする。では、子どもが聞く耳を持ちやすい、吸収しやすいようにするアプローチ方法とは?

藤原 まずはいかにシンプル、わかりやすくするかでしょう。そして、何を言ったら子どもが喜ぶか、そういう言葉の選び方ではないかと思います。

子どもが喜ぶ-。笑いをとって、盛り上げるというのも一手だ。ご褒美をチラつかせる「ニンジン作戦」が有効な場合もある。一方で、好奇心を刺激するという手もあるという。

「遊びの中から学ばせてあげることが大事」だという桐蔭学園・藤原監督
「遊びの中から学ばせてあげることが大事」だという桐蔭学園・藤原監督

藤原 例えば高校生相手に1対1から抜く練習をさせる時、「この人(高校生)はすごい人なんだよ」と言って、やらせてみる。小学生は背伸びしたがる時期で、そこを少しくすぐるわけです。伸ばすために、ちょっとハードルを上げてみるのは大事でしょう。何事も少し上の学年とやると、面白いんです。僕も小学生の頃、4つ年上の姉の同級生と野球をやるのが、本当に楽しかった。ボールが見えなくなるまで、夢中でやっていました。

年上のプレーを見て、まねて、吸収して、自分もうまくなる。それがさらに喜びを生み、子どもを夢中にさせる。ラグビー教室でも高校生相手に小学生は夢中になって走り、ボールを追いかけていた。 また、ラグビー教室では「紅組、白組」などではなく、1人1人固有名詞で呼ぶようにしていた。

藤原 粘着テープに名前でもニックネームでもいいから書いて、胸と背中につけてもらった。すると高校生が弟に接するように名前で呼んで、グッと距離も近づく。特に小学生は、名前で呼ぶことに大きな意味があると思います。名前で呼ばないと、誰に対して話しているのかわからないから、伝わりにくい。

これも「1人1人に向き合う」ということだろう。

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