今回は、水分補給についてお話します。水分補給というと、熱中症対策が思い浮かぶと思います。まず熱中症とはどんなものなのか確認しましょう。
熱中症は夏に起こるだけではない
熱中症とは、高温多湿の環境で、体内の水分・塩分のバランスや体の調整機能が崩れることで起こる障害の総称です。
日本はここ数年、湿度と気温が高くなっています。「熱中症=夏」と思われがちですが、今年はゴールデンウイーク(GW)中の5月2日に88地点で真夏日を観測しました。つまり、熱中症はすでに起こってもおかしくない状況なのです。
沖縄・奄美地方では5月10日頃に梅雨入りし、これから各地で梅雨入りしていきます。梅雨の季節はGW当時よりも気温がぐっと下がりますが、梅雨明け後、一気に気温が上昇することが予想されます。その時に体が暑さに慣れていない、「暑熱順化(しょねつじゅんか)」ができていないと、気温が上がり始めて1週間くらいは、熱中症の症状を起こしやすくなります。
おうち時間が長く暑さに慣れていない
今年はさらに大きな問題があります。自粛生活が続き、練習する時間が多く奪われました。本来ならGWにできたはずの暑熱順化ができないまま梅雨を迎えます。本格的な夏が始まると、例年以上に熱中症になりやすいと考えられます。
慢性的な水分不足の可能性も
体を動かさないときは、意識しないと水分摂取量が激減します。体を鍛えている選手たちは、少しくらい飲まなくても体が動いてしまうため、水分摂取量の減少を見落としがちです。
体を動かさない分、体重コントロールをしようと食事量を減らしている選手もいるでしょう。アスリートでなくても、食事から1日1リットルほどの水分をとっていると言われています。エネルギー必要量が多い選手たちは、食事も水分摂取のための大きな方法です。自粛期間中、ずっと食事量を減らしていたとすると、慢性的な水分不足に陥っている可能性が高くなります。