どんなに予防していても、激しい運動をするアスリートにはケガがつきものです。それでも毎日の食事でケアすることで、大ケガを防いで最小限に食い止めたり、早期回復を促したりすることができます。中高生は成長期で、体を作る大切な時期。骨や関節を強め、ケガや故障のない体を作っていきましょう。

アスリートのケガの代表例

アスリートのケガの代表例として以下が挙げられます。

ねんざ=関節に強い力が加わり、関節を守る靱帯(じんたい)や関節包が傷つき不安定になる。
脱臼=関節に強い力が加わり、関節が外れる。
肉離れ=筋肉が収縮している時に強制的に引き伸ばされて起こる。
骨折=骨が折れたり、ひびが入ったりした状態。
打撲=転倒などで体が強く打ち付けられる。初期は内出血による患部の腫れが生じる。

これらを予防するためには、主食・主菜・副菜・汁物・乳製品・果物の「アスリートの基本の食事」を整えるのが大前提。特に、体の組織を作るタンパク質をしっかり摂ることが大切です。肉、魚、大豆製品、卵、乳製品のいずれかを毎食摂り、吸収率を高めるビタミンB6も意識しましょう。

ケガ別の予防ポイントと栄養素

さらにケガ別の予防ポイントとして、大切な栄養素を説明していきます。

(1)骨強化

骨強化のためには、カルシウムが必要です。カルシウムは体内で合成できないので、食べ物から摂らなければなりません。カルシウムを含む主な食品は、乳製品、小魚、海藻類、大豆製品、緑黄色野菜、ゴマなど。吸収率を上げるために、ビタミンD(魚・キノコ)を一緒に摂りましょう。さらに、納豆などに含まれるビタミンKはカルシウムが骨に沈着するサポートをしてくれます。

カルシウムは汗や尿と一緒に体外に排出されてしまいます。汗をたくさんかくアスリートは、それ以上にカルシウムを摂らないと、体が骨を溶かして血中のカルシウム濃度を保とうとするため、骨がもろくなり、骨折のリスクが高まります。

(2)関節や靱帯強化

タンパク質の一種であるコラーゲンは、関節などの結合組織を強化します。コラーゲンは、牛すじ、鶏の軟骨、魚、鳥の皮、イカ、タコ、ゼラチン、フカヒレなどに含まれます。コラーゲンの合成を助けるビタミンCも必要なため、野菜や果物もたくさん摂りましょう。

(3)集中力を切らさない

集中力を保つには、脳を働かせておかなくてはなりません。そのためには糖質(炭水化物)を十分に摂る必要があります。朝食を食べずに朝練習をするのは、危険です。起床時のエネルギーはほとんどゼロの状態。体は思うように動かず、脳も働かず、めまいを起こしたり判断力を欠いたりして、大ケガの原因になります。

(4)疲労回復

練習や試合で疲れをため込んでしまうこともケガの一因になります。練習や試合後には補食でエネルギー補給をし、ビタミンB1などをこまめに摂るなどして、疲れを翌日に持ち越さないようにしましょう。

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